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今日から7月!夏休みの暮らし方の指導を開始しよう

教師になって間もない頃、夏休みなどの長期休業中の過ごし方についての指導は、休みの始まる前日、学期末終業式の後の学級活動で行うものだと考えていた。

しかし、実際に行ってみると、とても1時間で消化しきれる内容でなく、ましてその日には通信表も渡すので、ただただ慌ただしく半日が過ぎてしまっていた。

近年であれば、コロナ対策、熱中症対策など、指導内容はますます増加している。

そこで私は、学期末最終日よりもしばらく前から計画的に指導を進めるように方法を変えた。
夏休みの指導の場合は、7月になったら開始するようにしていった。
そしてその指導方法は、問題解決学習であった。
いわば、「夏休みの暮らし方を考えよう」という一つの単元の学習を構築したのである。

具体的に説明する。

夏休みの暮らし方のポイントを子供に見つけさせる

次のような問いを子供に出す。

「どんな暮らし方をしたら良い夏休みにすることができるだろうか」

学年段階や子供の実態に応じて問い方は変えるが、考えさせたいことは、「よりよい夏休みにするために意識すべきことや目当てとして設定すべきこと」
である。

この問いを、7月1日の朝の会に直接言葉で投げ掛けてもいいし、前日に背面黒板に書いておいてもいい(「予告」を常時行っていたクラスでは、私は言葉で言わずにただ背面黒板に書いておくだけの方法を取っていた)。

なぜ「問い」にするのか。
それは、仮に指導期間を十分に取った場合でも、教師が「<上から>伝える」という方法では、子供たちが主体的に夏休みを迎えようとしない、自ら進んで充実した休みにしようとする意欲が高められないと考えていたからである。「安全で健康に過ごしなさい」と教師に言われるだけでは、数日後にはもう意識しなくなる子供が多いのではないかと思っていた。

そこで、「問う」ことで子供たちに考えさせようとした。
だが、この問いに対する考えを、すぐには出し合わせることはしない。
数日間は考える時間を取り、それから発表させる。
朝の会やすきま時間を使い、20分間ほどで行う。

子供たちの出す内容は、生活面と学習面に分かれる。
例えば、次のようなものが出される。

「交通安全に気を付ける」
「健康に過ごす」
「苦手な学習の力を付ける」
「夏休みならではの学習に取り組む」

その時間は、これらを出させて終わりである。

数日後に、これらの項目一つ一つに対して、詳しく具体的に考えさせる。
もちろん、そのことは予告しておく。

「交通安全に気を付けるには、具体的に何に注意したらいいのか」「いつ、どんなことをしたらいいのか」などについて話し合う。
小グループで話し合うことが効果的なのは言うまでもない。

「これまでの長期休みや普段の暮らしでできていなかったことは何か」を振り返らせることももする。
学校からの「夏休みの暮らし方」のプリントや学年だよりは、資料として使う。

このようにして数日間に項目一つのペースで話し合い、その結果を背面黒板や模造紙に記録として残しておく。

数週間後には、子供たちにとってより実際的で自分たちや自分に合った「夏休みの暮らし方」が完成している。学期末最終日には、それを再確認する。

問題解決を充実させるために

よりよい夏休みにするための暮らし方を考えさせるために、上に書いたように、これまでの休みや日常を振り返らせたり、「夏休みの暮らし方」のプリントなどを資料として用いて調べさせたりしたが、さらに私は次のことも行った。

低学年では、地域の交通安全指導員や防犯パトロールの方に講師としてお出でいただき、夏休みの暮らし方について講話をしていただいた。普段から自分たちを「守って」くださっている方々が自分たちに対して何を願っているのかを感じ取ったり、安心、安全に過ごす具体的な方法を知識として得たりさせるためである。

3年生以上ならば、体育の保健指導を夏休みの暮らし方と関連付けて行った。

また、全校で不審者から身を守る方法を学ぶ時間(防犯教室)が設定されている学校や地域ならば、当然それを活用した。

もちろん「夏休みの生活表」も

どの学校、どの教師も行っていると思うが、もちろん「夏休みの生活表」も作らせて計画的に過ごせるように支援した。
ただ、これも夏休み直前では効果は薄いと考えていたので、「夏休みの暮らし方」の単元の中に組み込んで指導した。
その結果、夏休みを迎える頃には、例えば自由研究の計画や問題集のページ配分などがしっかり書き込まれたものが出来上がっていた。

さあ、7月!
どの子もより良い夏休みが自分の力でつくれるように指導を開始しよう!