子供と創る学級生活(朝・帰りの会 日直 持ち物指導のポイント)
どの子も安心して過ごせる「居場所のある」学級生活を送るために、朝の会や帰りの会、また「日直」の役割は大切です。
また、学級・学校内にあるルール指導も、実は子供の「居場所づくり」だと考えます。今回の記事では、「学習用具(持ち物)の指導」を取り上げてその考えを説明します。
子供と創る朝・帰りの会、「日直」
一日の学級生活が子供たちの手で進んでいくことを願う教師は、多いと思います。
ですから、朝・帰りの会や日直の仕事を子供だけで進められるように、この年度初めに会の内容(プログラム)や日直の仕事を指導していることでしょう。
かつての私は、「これが朝・帰りの会のプログラムです」「日直の仕事はこれらです」と、トップダウンで下ろしていました。
しかし、ある時、気が付きました。
「学級の仕組みやルールは誰のためにあるのか。これでは、子供たちはやら
されているだけ。学級は自分たちが生活する場所なのに、言われた通りに
動かされているのはおかしいぞ。」
そこで、子供たちと、会の内容(プログラム)や日直の仕事を話し合って決めるようになりました。
もちろん、2年生以上の子供たちは、0から考えるわけではありません。前年度の学級で行っていたことを基に提案します。それでいいのです。かえって、それぞれの前学級の取組みのよさが合わさり、よりよいものになる場合が多くありました。
また、教師からも提案をしました。「朝の会に、1分間スピーチを入れてほしい。その意図は…。」などと説明をしました。教室はまた、教師が教師として生きる場所でもあります。
「日直は、その日の『社長(=トップリーダー)』である!」という説明も毎年しました。教師の立場を使って、日直の存在位置と責任を明確に示したのです。
こうして子供と決めた「内容や仕事」は、決して固定的なものではありません。定期的かつ不都合が合った時に、「クラス会議」を開催して見直します。これがポイントです。自分たちの生活は自分たちで創ることの意味を子供たちがつかみ、実現する力を育むには、こうしたシステムが不可欠です。
その結果、<朝礼が行われた時の「朝の会」Ver.>や<特別日課Ver.>などが創られた時もありました。
ですから、「もう、今年度の朝・帰りの会や日直について決めてしまった!」というクラスでも大丈夫です。ここからの「見直し・仕分け」活動で、いくらでも子供と創る学級経営に資するはずです。
学習用具(持ち物)の管理指導も「居場所づくり」
子供たちが持ってくる帽子、体操着、絵の具の道具、毛筆書写の道具、給食用具、跳び縄など、子供たちが自己管理できることで紛失や忘れ物が防ぎやすくなります。
そもそも、持ってきた物をどこに置いたら良いのかが分かっていなくては、子供たちにとって生活しにくくなります。学習用具(持ち物)の指導は、子供たちが安心して生活することができるための指導なのです。
もちろん、安全面も含めてです。机の横に掛けておいた袋の紐に足が引っ掛かって転倒する事故も起こり得ます。
つまり、子供のためのルールなのです。だから、子供と一緒につくるべきです。
それにより、自己管理能力も育ちます。
指導方法は簡単です。
何をどこに入れる・掛けることで、使ったり、片付けたりしやすくなるのか、教室の中が過ごしやすくなるのかを、子供と一緒に考えて決めれば良いのです。
それだけで、子供たちはできるようになります。
整頓状況が乱れてきたら、「見させて」「気付かせ」ます。整える時間を取ればいいのです。
また、「お道具箱」を使わせている学校も多いと思いますが、これも同じです。
ルールを伝えて管理させるのでなく、一緒にルールを創り、使いやすくなるように自分の生活をつくっていく手助けをすればいいのです。
もちろん、教えるべきことは教えます。
そのために、私が大切にしたのは、次の4つのポイントです。
①年度初めに、まず中の「お道具」を確認する時間を取る
何の道具があると、どんな時に便利なのかを具体的に子供たちと話し合いながら、確認しました。
そうすることで、中の物が、
・「絶対に必要な物(=「だから、学校のきまりで入れておくようになっているんだ!」と、子供が気付きます。)」
と
・「あると便利な物(これを考えることで、自動的に<持って来てはいけない物>が決まります。)」
の二種類に分けられます。それにより、子供たちの自分の「お道具」への意識が高まります。
足りない物がある子には、すぐに予定帳に書かせました。
②名前が書いていない物があれば、書く時間を取る
手伝って、私が書く場合もありました。「先生が名前を書いてくれた」と、その「お道具」を大事にしてくれた子もいました。
ちなみに、教科書も初めて使う時には、必ず名前のチェックをします。
③整頓する時間を取る
整頓した後、中を見合う時間も取り、褒め合ったり、整頓の工夫を紹介し合ったりさせます。
④その後は、定期的に中の「道具」を確認、整頓する時間を取る
しばらくすると、プリントや使ったティッシュを突っ込んでいる子もいます。「確認システム」が大切です。
新たに、足りない物が出た子には、は補充させます。
やがて習慣化すると、指示がなくても休み時間などに自分で整頓する子が現れます。