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夏休み前復習テストの思想

「ヒント帳 96」で、私が行っていた夏休み前の復習テストの方法をお伝えした。

以下のものだ。

「漢字」の場合は、予め出題する問題を教えておく。

「算数」は、練習プリント(ほとんどの場合、教科書の既習の「まとめ」「練習」ページの問題)を配り、「本番」で出題する問題はその中から出すことを予告しておく。

この方法、特に「漢字復習テスト」の方法に対して、これでは漢字の力がつかないので、出題範囲は示すものの、問題については事前告知しない方法のほうがよいのでないかというお考えの方もいらっしゃる。

私も、「漢字の力をつける」というねらいで復習テストを捉えたなら、同意見である。
ゆえに、事前に問題を教えない方法で行っていたときもあった。


では、なぜ今は問題を教えておくのか。

それは、「努力は報われる」ということを教えたいからである。

「繰り返し練習のよさ」を、感じ取ってほしいということもある。

また、「繰り返し練習によって覚える」という学習方法を知識として身につけてほしいとも考えている。

さらに、もう一点ある。

「夏休み前の復習テストは、全員を合格させるために行うものだ」という考えに基づいて実施しているのである。

どの子も「得点」を取り、自信をもって夏休みを迎えてほしいのだ。

「夏休み前の復習テスト」は、子供を得点によって一列に並べるためのものでもないし、「できる子」と「できない子」、つまり「合格する子」と「不合格の子」を選別するために行っているわけではない。
気取って言えばそんな<思想>が、根底にある。

もちろん、<問題告知なし>の方法でやっていらっしゃる方が、序列化や選別を目的にしているとは、まったく思っていない。
文字通り、すべての子に、確かな漢字の力を育むことをねらっていらっしゃるからこその方法であろう。

私が恐れるのは、<テスト>の目的と方法に対する吟味・検討が不足しているにもかかわらず、「復習テストをすれば子供に力がつく」と無批判に思い込み、実施する態度である。

ちなみに、漢字の力を育むことをねらうとき、私は、「復習テスト」でなく、以下の多様な方法による復習学習を大切にした。
一度に数十題の漢字の問題を出す「復習テスト」方式は、結局、「暗記学習」だからである。

「多様な方法による復習学習」とは、例えば次のような学習だ。

・漢字集め…同音(訓)異字、反対の意味の漢字、同じ画数の漢字、同じ部首の漢字、同じ仲間の漢字(色、方向、自然、動物…)
・熟語作り
・漢字を使った短文を作ってペアと対話
・漢字クイズ
・漢字をできるだけ多く使った日記にトライ
・新聞記事の中から既習漢字の見つけっこ

また、子供の企画による「漢字遊びまつり」も実施した。
以上の内容や「漢字合わせ運動会」「漢字魚釣り大会」などを行った。

私はこうした楽しく学んで漢字の実際的な力を育む指導方法を、腰山照子氏の『国語ワークシートの開発』(国土社 1991)から学んだ。


こうした<漢字遊び学習>と<暗記漢字テスト>が組み合わさることで、子供の漢字の力が育っていくのではないかとも考えている。


ところで、やがて子供たちは大人になれば、書けない漢字、読めない漢字があった時、スマホでサクッと調べて生きていくに違いない。

そんな子供たちに小・中学校で漢字を教えることの意義、目的は何かということを改めて考えていきたい。漢字魚釣りや漢字合わせ運動会などを行った。

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