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戯言

知らない世界で僕らはきっと
知らない誰かになりたかった

ただ二酸化炭素を吐き出す人形から
知らない人間になりたかった


例えば水平線を越えることがあっても
僕らは昨日と変わらず僕らでしかなくて

力の入らない水中で酸素に有り付く魚の如く
今日もまた波に揉まれて泳ぐしかなかった


日の当たる場所は目眩がして
夜の街並みは禍々しく思えて

誰も傷つかない白昼夢で
誰とも通じ合わない孤独に傷付いた


消灯した住宅街で歌いたくなるのはきっと
周りの目はないけれど人の気配はあるからで

足音は苦しいけど空きビルは寂しくて
また回りくどい曲の中に本音を隠した

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