❷ オフラインによる対話の場づくりの工夫
こんにちは!石塚計画デザイン事務所(通称「石デ」)の3代表の一人、ベレー帽の千葉です!
みなさんゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?3度目の緊急事態宣言下ということで、私は本を読んだり部屋を片付けたりという過ごし方をしていたら、意外にあっと言う間に終わってしまってびっくりしています。
さて、このシリーズではコロナ禍の参加の場づくりについて、下の図中の❶〜❹の4つのアプローチについて紹介しています。
今回は『❷オフラインによる対話の場づくりの工夫』についてです。
コロナ禍において、対面のリアルな場を開くことには今なお慎重にならざるを得ない状況です。これまで、前回紹介したオープンワークショップや、情報誌・Webサイトを使った情報発信・意見収集、あるいはWeb会議ツールを使ったオンライン開催(次回紹介します)といった方法を提案し、できるだけ対面のリアルな場の実施は避けるようにしてきました。しかし、どうしても対面で開催せざるを得ないケースもありました。
ここでは、あまり対話を伴わない「講座型」の場合や、少人数の参加者を集めて創発的な意見交換をする「グループヒアリング」や、「3密に配慮したワークショップ」などの「対話型の参加の場」について、私たちが進めてきたことをご紹介します。
対面のリアルな場を開く時の基本
まず、次のことを基本としました。
<受付>
・マスク着用を必須とし、忘れた人に渡す予備のマスクも用意する
・アルコール消毒、検温をする
・連絡先の把握(感染者が出た場合に連絡するため)
・「接触確認アプリ(COCOA)」や、「LINEコロナお知らせシステム(神奈川県など)」の推奨(前者は不具合があったことが話題になり、後者は2020年には通知0件と運用が追いつかなかったことが話題になりました)
・受付に人が集中しないように、資料は座席に置くなどの工夫
<運営体制・参加規模>
・スタッフもマスク必須(講演者、ファシリテーターは最初マウスシールドを使っていましたが、途中から効果があまりないことが指摘され、使わないことにしました。また、最近は不織布マスクを推奨しています)
・アクリルの仕切り板の用意(これは対面の会話をする際に距離が近い状態が長く続く場合は用意しますが、そのような状況をつくらないように気をつけました)
・マイクを手渡しない(あるいは消毒してから渡すか、マイクスタンドを使用する)
・資料やペン等も手渡ししなくて良いよう配慮する。
・スタッフの人数を最低限にする(石デにとってインターンの学生さんに現場に関わってもらい、現場で学んでもらうことを大切にしていたのですが、会場のキャパシティに余裕がない場合は無しとしました)
・参加人数を減らして回数を増やす(3密を確保するため、人数を半分にして2回開催することもありました!)
・必要に応じてPCR検査をする(今年に入ってから、重症化リスクの高い変異株が流行していますね。今年の4月に開催したリアルなワークショップでは、少しでも参加者に安心してもらいたいと思い、弊社のファシリテーターは全員PCR検査をして挑みました)。
<会場>
・換気を徹底する。窓があったらできるだけ開けておく(夏は暑く冬は寒いのですが、参加者に協力をお願いしました。)。
・参加者同士の距離が取れる広い会場を使用(人数はそれぞれの会場が感染対策で推奨する人数を遵守する)
・会場のレイアウトについては、以下詳しく説明します!
講座などの場合の工夫
講座などスクール形式で開催しているものについては、会場のキャパシティや設備が許す限り、次の点に配慮しました。
・講師に近い席には人を座らせない、あるいはアクリルの仕切り板を配置
・可能なら机1台に参加者一人とし、椅子の位置も上の図のように左右に振ってできるだけディスタンスを確保しました(人数と机の台数が合わない場合は1台に1席あけて2名にする)。
対面でグループワークをする場合の工夫
対面でワークショップをする場合、これまでは下の絵のように今までは机3〜4台を島型に配置し、6人程度のグループにして、机上に模造紙を置いてグループワークをするのが基本でした。
しかし、その体制はまさに3密な状況をつくってしまうため、私たちは、次のような形でグループワークをすることにしました。
これを「半円型トーク&ライト方式」と名付けました。模造紙は壁やホワイトボードに貼って、それを均等に離れて見てもらうという形式です。それを平面図でレイアウトすると次のようになります。
椅子と椅子の間に荷物置き用の椅子を置くとディスタンスが確保されてなお良いです。
とは言え、問題もいろいろあります。
「半円型トーク&ライト方式」の問題点
・参加者が付箋などに書く作業がやりにくい(クリップボードを配布したり、後ろに机を置いたりします)。
・一番端と端の参加者同士の声が聞き取りづらい(端の人は、逆に隣のグループの人の声の方が近くに聞こえる場合もあるので、パネルなどで仕切りをつけたり別室に移動することも)。
・ファシリテーターが書く時、参加者に背中を向けてしまい、参加者の声を聞き取りづらくなったり、参加者とアイコンタクトができなくなる(慣れてないファシリテーターにはこれが結構辛い)。
などなど、最高な方法とは言い難いのですが、テーブルを囲むスタイルよりはマシということで今はこの方法で頑張っています。
一方、テーブルを囲むスタイルは、模造紙の上に参加者の資料や物が載せられると書きづらいとか、ファシリテーターの反対側に座ると文字が全部逆さまになると言った問題はクリアできるので利点もあります。
テーブルか壁かというのは、今までファシリテーターのやりやすさに合わせて選択していたこともあったのですが、コロナ禍ではこうした壁貼りのスタイルに慣れていく必要がありそうです。
その他の対面ワークショップの問題点
・先述したように、人数を半分にして2回開催する場合は、2回分の参加者全員で成果を同時に共有することができなくなってしまいます。まとめの資料を後日共有するのですが、それでは会場の空気感が共有できないのが残念です。例えば、午前と午後で全然結果が変わる場合もあったりするのです。
・マスクをしているのでそもそも声が聞き取りづらく、大きな声も出せないことで、ファシリテーターも参加者もストレスがたまってしまいます。コロナ禍が続くと、マスクでも通る発声法なども求められるかもしれませんね。
コロナウィルス感染のリスクを気にしながらの対面ワークショップは、なかなか問題も多いのですが、対面だからこそ得られる参加者同士のコミュニケーションによって生まれる気付きや共感、ワークショップ前後の雑談や交流から生まれる人のつながりは、オンラインではなかなか得難いものです。
何より、オンラインの環境やスキルがないなど様々な事情で参加できない人がいる中、リアルな対面の場を無くしていくことは難しく、これからも試行錯誤していく必要があると感じます。
こんな工夫をしているよ!こうしたらうまくいったよ!というご意見などがあればぜひこちらにメールくださいね。
次回は「❸オンラインでの対話の場づくりの工夫」についてご紹介します。
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