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ラーゲリより愛をこめて


 私は映画やドラマなどを見て、涙を流して泣く方ではない。胸にグッときて心は動かされるが、それが涙には直結しない。人がたくさんいる映画館で見る映画などなおさらだ。歳をとると涙腺がゆるんで…と話すのを聞くが、私は若い頃の方がもっと様々なことに感動していた気がする。このまま私の感受性は枯れていくのか?感動で泣けるものに出会いたい。そんな私の前に現れた「ラーゲリより愛をこめて」である。

 あらすじは、とても上手に紹介してくださっているものがたくさんあるので、そちらを読んだり見たりしていただくとして。
 映画館で、隣の他人のことも気にせず、本編中ほぼずっと、目に浮かんでくる涙を、鼻水をこらえていた。そういう自分自身にも感動なのだが、完全に私の心はシベリアの空の下にあり、山本幡男さんを思い、行動する人たちの姿に大きく心を動かされていた。

 二宮和也が演じる山本さんは、文句なし素晴らしいし、心動かされるシーンが次々と映し出される。しかし、私は戦争の悲惨さや山本さんの病気のシーン、北川景子の泣きの演技に涙がでたわけではない。一番胸にきたのは、山本さんを思う周りの人たちの気持ちである。山本さんの意志を伝えようと奮闘し、団結する人たち。

 それは普段の生活の中でもそうで、陰で誰かのために動く人間の姿、というのが大好きだ。サプライズと言われるものはあんまり好きじゃない。驚き方がちょっとわざとらしくなる自分の姿が好きじゃないからだ。でも、これを実行するために、時間と労力を割いて事に当たってくれたと思うとやっぱりじーんとくる。甲子園で高校球児を汗だくで応援する応援団、6年生を送る会で一生懸命セリフをいう在校生。たまらない。

 泣くことが一番の感動の表現ではない。けれど良かった~、ラーゲリ。ロングランを続けているらしいので、なるべく多くの方に見ていただきたい。今夜はBSで放送される「硫黄島からの手紙」を初めて観ようと思っている。こちらも楽しみ。

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