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神に愛されしもの: 光る君へ(38)「まぶしき闇」①

 全編について喋る時間が取れないので、ひとまず今日はこれについてだけは言いたい! ってことででてまいりました。


 光る君へ 38回「まぶしき闇」


 前回ラストの「引き」がききょう様の「光る君の物語、読みました」でしたから、いや怖い、どんな酷評もしくは恨み言が出てくるかわからん、まひろちゃん大丈夫か、と思っていたので、今回のオープニング、ハラハラどきどき。


 そうしましたら

「引き込まれました!」

 と意外に好評だったのでホッと胸を撫で下ろすも、続く言葉が

「あんなことをお一人でじっとりとお考えになっていたのかと思うとたまげましたわ」


 ……………は?
 ええ?


「まひろさまはまことに根がお暗い」


 ――えー……(困惑)

 以下、こんな調子で好評なんだか当てこすりなんだかわからない、その両方が交互に現れるようなききょうさまこと清少納言さんのセリフを聞いていて、うーん、と思いました。


「源氏の物語を、恨んでおりますの」


 究極、この一言。

 でも、清少納言さんはその物語に引き込まれ、面白いと思い、その魅力をおそらくは他のどの読者よりも理解しているでしょう。

 清少納言さんの「本音」は真っ二つに分かれている。


 この物語を純粋に愛好するのは事実。

 そして、これが政治的な思惑によって誕生し、亡き皇后、定子さんの面影を消し去るためのものであることをも深く理解している。

 他の読者は、単に、面白いと思って読むだけで、裏に隠された思惑に気づくことさえなくても。

 清少納言さんには、わかってしまう。


 それを恨むというのも紛れもない「本音」。

 源氏物語が、帝に媚を売るだけの駄作であれば、清少納言さんにとっての「脅威」にはならないのですが。


 あいにく、純粋に文芸作品として優れたものだと、他の誰よりも清少納言さんは理解してしまう。

 源氏物語の輝きを理解するがゆえに。

 その価値がわかるからこそ。

 この物語の存在をある意味では恐れなければならない。

 脅威として感じなければならない。

 優れているとわかるからこそ、清少納言さんの「恨み」は深くなるのですね。


 なるほどこれも「アマデウス神の恩寵」なのかなあ――


 ふと思ったのは、そんなことでした。

 深く理解するからこそ、自分がどれほどその存在によって脅かされているかがわかる。

 脅かされていながら、そこに魅了されてしまう自分もいる。

 そんな自分を許せない自分もいる。それもまた事実。


 清少納言さんのその複雑な胸中、入り乱れる感情が、いきなり殴りかかってきたような「まぶしき闇」のアバンタイトルでした。


 冒頭でこれだけのハードパンチが飛んでくるんですから、その後の約40分が、すごいことになっていたのも頷けますね。


 そちらのお話はまたあらためて。


 本当はちゃんと38話、まるっとまとめて書きたかったのですがどうしても時間が取れず。

 でも、どうしてもこれだけは先にしゃべりたい。

 ということでの本稿でございました。


 続き(?)は後日になりますが、またお付き合いいただけましたら幸いです。


 

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みずはら
筆で身を立てることを遠い目標にして蝸牛🐌よりもゆっくりですが、当社比で頑張っております☺️

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