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【ショートショート】機械と砂漠と私と

 ロボットと人間が砂漠を旅をしていた。名前はアマンダとSA-8。二人はロボットと人間が共生しているという街を目指していた。
 高温のためだろうか、SA-8が道半ばで倒れた。これまで一緒に旅をしてきた相棒をアマンダは見捨てられなかった。彼女は相棒を担いで歩いた。街に着けばまだ間に合うかもしれない。僅かな体温を背中に感じながらアマンダは夜通し歩いた。
 そしてついに街に辿り着き、アマンダが倒れ込むと。住人が駆け寄ってきた。
 アマンダは真先に「私はアマンダ。急で申し訳ないがSA-8を、彼を助けてやってください」
「ダメだ。できないよ」住人の一人が言った。彼はロボットだった。
そして別のロボットが続けて「俺達と違って人間は修理できないんだ」と言った。
「そんな……」アマンダが呆然としていると、今度は人間が話かけてきた。
「辛かったろうに、でもまずは君はメンテが必要だよ」
 アマンダが立ち上がると、砂漠で疲労したギア達が悲しげな唸りを上げた。
 SA-8は腐り始めていた。


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