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海から来ました。(エッセイ)

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エッセイと写真。
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2018年12月の記事一覧

二度と戻らない

当時の彼女との思い出は、あまりに色濃い。街中をただ歩いていたときにすれちがった人の髪の匂い、子どもの手を引いて訪れたイオンのBGM。 意識せずとも記憶が蘇る。十代のわたしが孤独から少しでも離れようともがいた跡に、30歳を目前にしたわたしの心が、じゅわっと焼け落ちそうになる。 彼女とは何百通と手紙をやり取りした。その手紙は別れるときに「全て捨てて」と言われ、その通りにした。 つもりだった。 この引越しで、一通だけ出てきたのだ。中を開くと、独特の丸文字が綺麗に並んでいた。い