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海から来ました。(エッセイ)

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エッセイと写真。
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2018年9月の記事一覧

せーの、でジャンプだ

5月に文章を書き始めた。 エッセイのようなものを書いたり書かなかったりしながら、自分のつながる世界で公開してきた。 9月に行ったライティング講座。今までも講座の存在を知っていながら、自分が行けるような場ではないと思っていたけれど、急に参加したくなって、即座に申し込んだ。 講座を終えた夜、軽やかになった身体がベッドに深く沈みこむという不思議な感覚で眠りに就いた。 そうして、講座から二週間以上経った今日。身体を動かすワークを主に担当した講師の方から「書きませんか?」のお誘いが来た

両手にすくったさびしさを

お礼参りというと物騒だけど、職場でお世話になった人に退職を伝えて回っている。お世話になったというのは、仕事を一緒にしたというよりも、精神を支えられたという意味で。 わたしがいなくなっても会社は何も変わらず回り続けるし、大人だから別れを惜しんで泣くような人もいないだろう。そう思っていたけれど、一番に退職を伝えた上司は「…さびしい。」と泣いた。お互いの産休育休中に一緒に遊びに行くほどの仲だったけれど、普段クールな上司の涙に、わたしもまた涙しか出てこなかった。 採用のときからお

近距離恋愛(双子版)

三歳四ヶ月の双子が、揃って赤ちゃん返りをしている。 具体的には、「お着替えできない」「お姉さんパンツはかない、オムツはく」など、できていたことをできないと言う状態。更に、赤ちゃんのような態度をとる。わたしのお腹やおっぱいを触り、にやにやする。階段で二人同時に抱っこを求められ「階段で二人とも抱っこするとこけちゃうよ。階段終わってからね」と言うと、二人揃ってマンションの階段で大声で喚いた。 赤ちゃん返りが始まって一ヶ月ほど、わたしは二人の態度を受け入れることができなかった。「

夕方の窓のそばで、命のそばで

先日、友人に赤ちゃんが生まれた。生後六日でまだ病院にいるところへ、会いに行って来た。 言われた通り大部屋の右奥のベッドで待つ。カーテンで仕切られているけれど、ほかのスペースにも赤ちゃんとお母さんがいるのだろう。新生児の頃にしか出さないイルカのような不思議な音が各所から聞こえてくる。 「食べて待っててね」と置かれたお菓子をつまんで待っていると、カーテンが揺れて友人が現れた。 ところで入院中って、本当に「入院してます」って感じの姿になるけどあれはどうしてだろうね。普段からすっ