John Lennon '(Just Like) Starting Over' 時代の変化を象徴することとなった皮肉な曲 1981年の年間チャート第4位
1981年の年間チャート4位はJohn Lennonさんのこの曲。
この曲自体は、典型的なJohn Lennonさん節ともいえるような彼の魅力が詰まった曲です。1970年のBeatles解散の後、かなり実験的な作品やコンサートも発表していたのですが、1980年に入って行き着いたのは、やはり元の姿というか、彼にとっての原点への復帰ともいえる感じの曲で、優しく温かみのあるメロディが印象的です。
この曲がアメリカで発表されたのが1980年の10月。彼が射殺される1か月半前です。この曲が1位を取ったのは、その事件の後という皮肉もさることながら、結局この路線になるならば70年代の彼の苦労は何だったのよ、という思いも(正直)あります。
この曲の良さが評価されているのよいですし、この記事で再び耳にされる方がいらっしゃるのでしたら望外の喜びなのですが、彼の評価ってミュージシャンというよりも、むしろ伝道者、平和主義者という点が強調されていて、その点が音楽好きとしては、正直なところ残念なんですよね。
ミュージシャンが政治的なメッセージを伝えたりとか、平和を歌うとか、大賛成なんですよ。どんどんやればいい。でも、政治的立場には、必ず反対の立場の方がいるんですよ。自由で民主的な社会である限り。そのため政治的なメッセージには必ずそれから排除されてしまう人がいるんです。
だから、政治的な発言で、自分の正当性だけを主張すると、傲慢な印象を与える場合がある。この点は覚悟しなければならないでしょう。
生前のJohnが反戦運動に没頭したとか、それは別に問題じゃないんです。でも彼の死後、その点をことさら強調する人たちがいた。Johnさんの活動家としての評価ですね。でも、私は音楽を聴きたいんです。ここに、現代の言葉で言うと、分断が生じる原因があるんじゃないかなと。まあ、個人的な意見です。
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