<伊勢滞在記>AKI INOMATA

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1. 夫婦岩 大注連縄張神事(二見興玉神社)
荒波の中、5本の注連縄(しめなわ)が張り替えられる。「ヨーイトコセー」といった木遣歌が心地良い。
二見は禊の地。伊勢神宮の参拝の前に二見浦の海水で心身を清めるのが習わしだ。

2. 尾鷲神社大楠

3. 岩戸の塩
海水そのままを煮詰め、焼く、原始的な手法でつくられた岩戸の塩は、ややクリームがかった色味で、甘さが先立つ豊かな味がする。その味は季節により異なるらしい。なお、満ちてくる時の海水しか使用しないのだという。湯気に包まれた塩作りの現場は、神事のように美しい。

4. 伊勢海老、牡蠣、アッパ貝
アッパ貝ことヒオウギ貝はホタテガイではない。赤、黄、橙、紫とカラフルな貝殻が特徴。一月家さんで食べる海の幸は美味しく、毎晩でも通いたかった。
アワビなどの伊勢の海の幸は伊勢神宮にも捧げられている。

5. 伊勢和紙館
伊勢和紙の製造工程は長く、職人技の粋。外宮参道の行灯にも使われており、その波紋部分は透かしになっている。この工房も神聖な陽射しで満ちていた。色々なものを漉き込んでみたい欲求にも駆られる。

6. 二軒茶屋餅
伊勢は赤福をはじめ、へんば餅、御福餅,,,など名物餅が揃い踏みだが、私の一押しは二軒茶屋餅。きなこをまぶした餡入り餅は400年以上続く老舗の味。特に、角屋本店の店先で食べる二軒茶屋餅は格別だ。

7. 伊勢河崎商人館
窓越しに連なる瓦屋根を見て、時空を超えたような心地がした。江戸時代の商人の暮らしぶりが脳裏に浮かぶようで、英国のアーティストらに響いたというのもうなづける。時節柄、笑門と書かれたしめ縄が売られていた。三重では年中しめ縄を門口に飾る。

8. 伊勢根付彫刻館
根付職人、中川忠峰さんのアトリエ。精緻な細工が素晴らしいだけでなく、「(力が弱くて)1度に削れなければ3度彫れば良い」など、その言葉にも感銘を受けた。

9. 熊野古道 馬越峠
熊野本宮語り部の会のガイドが素晴らしかった。伊勢路のみで17程ある熊野古道の峠だが、馬越峠は苔むした石畳の道を約2時間半、初心者でも歩きやすく、山と山との間をいく峠越えの感覚を味わえる。

10. 猿田彦神社 たから石

11. 伊勢神宮 月次祭の奉幣
神道では交わるところは吉とされ、伊勢神宮も五十鈴川と島路川の2つの川が交差する場所にある。隅々まで美意識がいきわたる境内は、誰かがディレクションしているわけではなく、伝統を受け継ぐ中で存在するのだという。
1のつく日の早朝には、神馬が御正宮へ参拝する「神馬牽参」が見られる。


AKI INOMATA 現代美術家
https://www.aki-inomata.com

【滞在期間】2020年12月11日〜12月19日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)