<伊勢滞在記>阿部 駿(Shun Abe)

はじめまして。

フォトグラファーの阿部駿です。

普段は広告やファッション系統の撮影を行いながら、

自己の創作活動のためモノクロのフィルムで制作をしています。


美術手帖で展示の予定やコンテストの募集などを見ていた時、

たまたま伊勢市クリエイターズワ―ケーションを見つけまして今回応募しました。

こちらで書いた通り自分は全くの無名であり、

まったく実績などがないので、

なぜ今回選出されたのか全くわからない形で参加をすることになりました。

私は「伊勢の街を自分のスタイルで落とし込んで撮影したい」という気持ちで参加しました。

しかしそれだけでは面白くないと思いましたので、

「ここには必ず行くべき!」というような有名な光景を考えつつも、

観光地と観光地の間の状態を知るために

日が出ている間ひたすら歩き続けて記録を行いました。

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空が広く、海が近く、山も近い。

そしてほとんど雪は降らない。

車社会で街灯は少なく、

夜は歩行者がほぼいない。

少子高齢化で増える病院、空き地、廃墟。

管理できなくなった田は太陽光発電施設に変化していき、

ショッピングモールができたことによる商店街の衰退。

「昔はよかった」という口癖と共に語られる現状の数々。

風習や古き良きに縛られて変化しようにも変化できないジレンマ。


街を歩き、出会う人に話を聞いてこのような印象を受けまとめました。

これらは悪いことのようにも見えるかもしれないですが、

ここから変化の余地があるということでもあります。


伊勢神宮という大きな光に隠れてしまっている町並みを、

ここから長期的に観察し記録し続けることができたら、

伊勢神宮だけではない伊勢市という町がどのように変わっていくか、

客観的なところから蓄積できるのかもしれないと思いました。

このようなことを書きましたが、

町の人からすると部外者で何も知らないくせに大変失礼な存在だなと感じるかもしれません。

しかし、この感覚は実家の静岡に滞在する際でも常に感じていて、

そこら中に増える空地や上下の人間のかみ合わない話など、

どの場所にでもある問題なのだと思います。


今回のクリエイターズワ―ケーションのような新しいイベントは大変面白いなと感じました。

私は一人の写真を撮る人程度の存在であり、

記録をすることしかできませんが、

100人近いクリエイター達が伊勢市から影響を受けて作品を作りそれを発表する...

そういった場ができてくれば町そのものが変化していく良い起爆剤のようなものになるのではないでしょうか。


今回町の観察を行い、実家付近と多くの接点を見つけ、

伊勢という町がこの二週間の時間で、

もともと住んでいたかような近い町になった気がしました。

東京へ戻る電車に乗る時は、

実家を出る時のような寂しさを感じるほどでした。


フィルムの現像の方はまだまだ残っていて、

進み次第掲載していくことになると思います。


自分の写真をもう一度考え直すいいきっかけになりました。

近い将来また何かの形で伊勢市での活動に携われたらなと思います。

素晴らしい機会をありがとうございました。


阿部 駿 (Shun Abe) フォトグラファー
https://skybrew1127.wixsite.com/shunabe

【滞在期間】2020年12月12日〜12月25日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)