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<伊勢滞在記>衣川 明子(Kinugawa Akiko)

11月の二週間、伊勢市クリエイターズワーケーションで伊勢市の二見に滞在させてもらいました。
到着直後あたりから東京でコロナ第3波ではと騒がれ始め、一応東京の端から来ていたので内心ドキドキしていましたが、宿の方々はじめ、皆さん温かく接してくださり、感謝しています。

私は二見の海岸で絵を描きたいということで参加したのですが、二週間あると思うと足を伸ばしたいところが沢山出てきて、結局半分は二見、もう半分は伊勢まわりをうろうろしました。

今回私がやったことは、気になる場所に行って、そこからインスピレーションを受けてドローイングをしてまわるというものでした。
以前から、山の中で変わる雰囲気とか、人気のない神社などもわかりやすいですが、その場所特有の流れているもの、視覚ではなく体感するその場所の何かというものに感心があり、それを絵に影響させてみたいと考えていました。
できているかどうかは置いておき、とにかくガッツリやってみようという旅になりました。
ここでは制作したいくつかの場所をご紹介したいと思います。

「二見」
有名な二見興玉神社の夫婦岩があり、そこから海岸沿いを歩けます。旅の半分はこの海岸で絵を描きました。毎日通っていると、波の音や、変化する色や表情に、有無を言わさず癒されるようで、この場所がお伊勢参りの禊をする場所なのもよくわかりました。
二見興玉神社で特に気に入ったのは、奥にある竜宮社とその社の後から海底まで繋がっている岩肌で、竜宮社の前の海岸自体が、巨大な竜の皮膚みたいな岩肌と天女みたいな海がぶつかりあい、混ざりあってるように見えました。岩肌自体が光ってるような、生きてるような美しさでした。

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また、二見の海と同じように、朝の二見浦駅から見える里山が粒子細かく輝いていて、帰るころには大好きになっていました。

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「朝熊山」
伊勢音頭に朝熊をかけねば片参りとあるようなので、朝熊山にも。朝熊岳金剛證寺の苔の庭が大変気持ち良かったです。お寺や神社のこういった敷地内の空気の保ち方って専門の庭師の方とかいるんですかね、、?と今さら疑問がでてきたり。

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個人的には敷地内にあるお稲荷さんの前の木が大変居心地よく絵を描かせていただきました。

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「猿田彦の森」
天岩戸と、そこにある猿田彦の森も良かったです。水穴と風穴と、少し山の奥に進むと、女性器みたいな石がある猿田彦の祠があります。

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猿田彦は男性のイメージがありますが、神話や縁の場所を見ていくと、男性性と女性性のねじれといいますか、現代のジェンダーに対する考え方とは違う古代のもうすこし混ざりあったような性の扱いが想像できて興味深いです。
山の中でわけのわからない絵を描いているので通りがかる人も見ないふりをしてくれるのですが、絵が好きな少年が覗きにきた際に思ってたのと違ったのか、困惑した後、凄いね、、とだけ言ってくれて、気を使わせてしまったのは悪かったですが、貴重な交流でした。

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駐車場の小さな川もとても綺麗で、魚がわんさかいました。

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バス停への道にはダムがあり、鳥と亀がわんさかでした。生物が住みやすそうで、昔聞いた「神社は綺麗な水を守っている」という言葉を思い出しました。


「瀧原宮」
伊勢神宮の別宮もいくつか。瀧原宮も大変水が綺麗で、1日アライグマのように川で手を洗ったり絵を描いたりしていました。海とは違う洗われ方で、こちらも素晴らしかったです。
伊勢神宮さんの境内は他の参拝者の邪魔にならないところを探すのが大変なのですが、ここはいるだけでも何時間でも過ごせました。

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「伊雑宮」
こちらも伊勢神宮の別宮ですが、ここの庭も不思議な空気感でした。そしてどう見ても王蟲のような木。

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近くには倭姫命の遺跡や石神さんが。竹藪の中に大きな石がゴロゴロと、、

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「伊射波神社」
志摩国の一之宮。海沿いの神社で、木のトンネルを進んでいくと、貝によって穴が開けられた石を集めて鳥居近くに積んでいるお爺さんの仕事場?に出ました。

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その石を「ご利益あるよ」とお爺さんがくれたのですが、気が引けたのでそっとお返ししました、、すみません、、。
帰りに林からうり坊が出てきて、うり坊がいるなら近くに母がいるはずだと警戒したり、はじめてみる奇抜な模様の蛇がいたり、伊勢神宮とはまた違って野性味溢れる中に思わず夕日や海に手を合わせたくなるような場所でした。

二週間は長くもあり短くもあり、結局観光地ばかりいってしまいましたが、こんなに贅沢に時間を使わせてもらえて、絵描きとしても、私個人にとっても、発見の多い貴重な日々となりました。
ありがとうございました。


衣川 明子(Kinugawa Akiko) 画家
http://anomalytokyo.com/artist/akiko-kinugawa/

【滞在期間】2020年11月11日〜11月25日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)