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一覧性と俯瞰性 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」著者の言葉|こどものにほんご


教科書「紙」に回帰(一面見出し)


2024年10月22日(火曜日)
「スウェーデン 端末重視で学力低下
読売新聞朝刊の一面に、デジタル教科書についての記事が掲載されました。

子どもたちの集中力が続かない、考えが深まらない、長文の読み書きが
できない
――――――。

リキネル教諭

学習の記憶は、どの辺りに書かれていたかといった物理的な位置情報も関連しており、画面上の情報は記憶に残りにくい

カロリンスカ研究所 トルケル・クリングベリ教授



日本でデジタル教科書という耳慣れない言葉が2009年にマスコミに登場したことから始まり、デジタル教科書についてのメリットやデメリットについて
新井博士が2012年発行のブックレットでまとめてくださっています。

2012年12月第1刷発行 (岩波書店)
「ほんとうにいいの?デジタル教科書」
 新井紀子 著

新井博士のご専門は、数理論理学(証明)・知識共有・協調学習・数学教育
2001年より教育機関向けの情報共有基盤システムNetCommonsを開発。
現在、3000を超える教育機関で学校ホームページやグループウェアとして
活用されている。
2011年より人工知能プロジェクトディレクターを務める。

まず公平な視点で論じることからはじまっていて、単純な善し悪しでは語られていません。
私の印象に残っていたのは

ひと目で全体を隅々まで見渡すことができる、という一覧性は、多数の情報をつなげたり、全体を貫く構造を理解したりすることを促してくれる

【出典】「ほんとうにいいの?デジタル教科書」1「デジタル教科書」とはどのようなものか P15

社会科学習中、ある年に起きたことについて調べるとき
当時の地図・年表・統計・人名辞典などを横断的に眺める必要があり
複数の異なる情報が同時に視野に入ったまま「行ったり来たり」することで深い理解を得る
ことができる。
このことと脳の記憶の構造と関連がある。

ということらしいのです。


紙とデジタルで置き換えることは、良いことばかりなのだろうか?
デジタルに移行することで失うものがあるのではないのか?
教育現場での情報技術活用に早くから取り組んできた著者が、デジタル
教科書と呼ばれるのはどのようなものか解説し、紙の教科書と比較したメリット・デメリットを論じたうえで、拙速な導入の危うさを指摘する。

岩波書店 岩波ブックレットNo,859裏表紙より


日本は当面は併用
文科省は9月中央教育審議会に設けたワーキンググループで
デジタル教科書の推進に向けた検討を始めた。
紙とデジタルの併用を、国語など他教科に広げることも議論されている。
と記事にあります。

日本での状況は、デジタル教科書は今年度から小中校の英語で100%
算数・数学は55%の児童生徒が使えるそうです。
英語に関しての調査で「デジタルのみ使う」とした教員は3%
ということなので、先生方も試行錯誤しながらの活用なのでしょう。


スウェーデンでは、紙の教科書が1人1冊ではなかったそうで
再びそうなるように図っているそうです。

今は端末を「効果的な場面」でだけ使う。月に計1時間程度となり、この日も教室の保管庫から端末を持ち出させることはなかった。

ジャーデススクーラン小学校

紙の教科書や鉛筆を使う時間を増やしてから、集中力や考える力が伸びた

リキネル教諭

我々は今、化学的根拠を基に、正しい学習のあり方へ軌道修正しているのだ

ロッタ・エードホルム学校教育相


読売新聞ローマ支局 倉茂由美子さん、大切なことを取材して記事にして
下さりありがとうございます。


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