質の良いタイトル

 僕は「タイトルを記入」と突然言われても、凡庸なタイトルしか思いつきません。「はじめに」「1日目」etc. 果たして「自己紹介」というタイトルをつける人はいるのでしょうか。ひねりがないというのは寂しいことですね。


 質の良いタイトルとは何か。一口に印象的で独創性のあるタイトルのことでしょう。印象的でないと読まれません。良い書き物でも、面白いタイトルでないと人は手に取らないものです。独創性もないといけません。面白さとは突き詰めれば独創性のことです。


 僕は小さい頃から本が好きで、まだ18年ぽっちしか生きてませんがそこそこ読書を嗜んできました。幼い頃の僕が本を選ぶ時に「なにに惹かれていたか」といえば、それはもう表紙です。カラフルな表紙が好きでした。そういえばカラフルつながりで森絵都はよく読みました。

 

中高生にもなると今度はタイトル重視になりました。たとえば「子どもたちは夜と遊ぶ」とか「彼女は頭が悪いから」とか、「四度目の氷河期」とか、「死にがいを求めて生きているの」とか。他にはないユニークなタイトルですよね。


ところで作家さんはたくさん売るために本文を書いてから熟考してタイトルを決めているのでしょうか。それともタイトルは先にあるのでしょうか。それともタイトルなんてものはどうでもよくて「俺は感じたままに書くぜ!」という感じなのでしょうか。

 もしも、売れるタイトルを考えてるなら、なんだか皮肉な話ですよね。好きなこと書きたくて小説家になってるのに、好きなようにできないのが市場の厳しさですね。そう考えると純文学ってのは文学が藝術たるところですよね。生活にお金は必須ですが、生活に文学は必須ではない。作家の生活にだってお金は必須なのに、文学は藝術であればあるほどお金にならないかもしれない。これは全部、僕の勝手な妄想ですが。


 質の良いタイトルとは何でしょうか。僕だって結局のところ、タイトルを見た瞬間に勝手な先入観が暴走して「読むか、読まないか」決めてしまっています。安部公房の「砂の女」が、例えば「穴に落ちて出られない」というタイトルだった、あなたは手に取りますか。質の良いタイトル、本当はこんなものに固執してはいけなかったのです。

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