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インド起業、VCを経てGaudiyへ。web3のマスアダプションを目指して

はじめまして、Gaudiyの中島(@isaocrypto)です。
前職のVCを経て、昨年の9月にGaudiyにジョインし、CEO室にて投資案件や新規事業、トークノミクス設計などを担当しています。このエントリでは、私の簡単な自己紹介とともに、どのようにweb3業界やGaudiyに興味を持つようになったかについて書いてみたいと思います。

また、web3がまだ一般に浸透していない中で、現状の課題と今後世の中にひろく受け入れられるために必要なことについて、私が思うことについても触れさせていただきます。具体的には、多くの方にとって使いやすいとは言えない「ウォレットの今後」について少し考察してみます。

この記事を読んでweb3により興味を持っていただき、さらにGaudiyでweb3の未来を一緒に創っていきたいと思っていただけたら嬉しいです。

web3に興味を持つようになるまで

私は新卒でソニーに入社して、事業部での海外マーケティング、クリエイティブセンターでのデザインリサーチやR&Dに携わりました。それから少し日本で活動をした後に、インドのIT都市バンガロールでインド人の友人とスタートアップを起業し、VRアプリを開発してサービスを提供していました。

2019年の当時はメタバースという言葉はそれほど使われていなくて、VR/AR界隈の一部では「Spacial Web」という概念がWeb3.0として語られることが多くありました。これは、現在のweb3やセマンティックWebとしてのWeb3.0とも違うもので、Spatial WebはVR/ARの技術によりあらゆる情報を空間化してデジタルと物理の世界を融合し、IoT・AI・ブロックチェーンの技術を内包させた新しいWebのあり方を示したものでした。ここで、ブロックチェーンや暗号資産は、データの保護や決済の観点で欠かせない技術として言及されています。

また私の住んでいたバンガロールは、インド発のブロックチェーンであるPolygon(旧Matic Network)の開発者がいたため、ブロックチェーンについて耳にすることが多くありました。そのような環境や、以前に暗号資産投資を行っていたことから、ブロックチェーンへの興味も強くなっていきました。

その後、私の実力不足でスタートアップはクローズすることになり、VCに転身して、USスタートアップ投資に従事していました。ブロックチェーン領域に関しては注力テーマではなかったものの、投資検討のために調べれば調べるほど、世の中を良くすることのできる可能性に満ちた技術であるとの思いを強くしました。

そしてSpatial Webのような今のメタバースの概念を、むしろ現在のweb3が上位概念として内包するものだと考えるようになりました。web3業界は極めて動きが速く、1ヶ月が他の業界の1年に相当すると言われ、ものすごい速さと密度で次々に新しい技術やプロダクトが出てきます。そこに、今後はより深く、すべての時間をweb3にコミットしたいと思うようになりました。

Gaudiyにジョインした理由

Gaudiy代表の石川とは以前から話す機会があり、意気投合して誘ってもらっていました。そんな中、一度世界のweb3の最新状況も体験したいと思い、1ヶ月かけてシンガポール・インド・UAE・インドネシアを回って、イベントに参加したり各地のコミュニティメンバーに会ったりしました。

そこで感じたのは、web3業界の独特の熱気と、日本のエンタメのすごさでした。互いに助け合って発展させていこうという心地の良い空気が流れているのを肌で感じましたし、どの国でも、私が「日本から来た」と言うと、みんなが漫画やアニメの話を嬉しそうに話し始めることも印象的でした。もともとweb3業界では様々な理由で日本は特別視してもらっているのですが、それを差し引いても日本のエンタメの話となると本当に盛り上がります

Gaudiyは、日本のエンタメ企業をパートナーとして、web3とエンタメを掛け合わせてグローバルに打って出ようとしています。世界中のエンタメファンに喜んでもらうというミッションに一緒に挑戦したいと思い、ジョインする意思決定をして今に至ります。思いを共にする優秀で尊敬できる仲間たちと、エキサイティングな日々を送っています。

web3が普及するために

現在ではweb3にどっぷり浸かっていて、ブロックチェーン技術は世の中をより良くすることができると信じているのですが、web3の普及には課題に感じることも多くあります

その中の大きなものが「ウォレット」です。ウォレットはweb3のUXの起点となる重要なパートであり、私の担当している新規事業にも関わるため、その理想の在り方についてはとても考えがいのあるテーマだと思っています。

現在、最も有名なウォレットであるMetamaskをはじめ、多くのウォレットは自身で秘密鍵を管理しなくてはならず、それを無くしたり盗まれたりすることでウォレット内の資産を全て失ってしまうのが現状です。このようなUXではユーザーにとって親しみやすいとは言えず、秘密鍵を自身で管理しなくても良いウォレットがweb3の普及の鍵を握っていると考えられます。

では、どのようなタイプのウォレットが考えられるのか。秘密鍵を自身で管理しない3種類のウォレットについて書いてみたいと思います。

①カストディアルウォレット

これは信頼のできる第三者に秘密鍵を管理してもらうウォレットであり、主に金融機関が提供しています。金融機関は強固なガバナンスの仕組みと、情報管理体制の徹底により、秘密鍵のような顧客情報を安全に管理することができます。また万が一ハッキングなどで資産が流出してしまった際にも、一定の金額を補償するサービスをセットで提供していることもあります。

②MPCウォレット

こちらのウォレットはMPC (Multi-Party Computation)という技術を活用しており、秘密鍵を複数のパーティに数学的に分割して分散的に保管します。例えば、ユーザーとウォレット開発企業が分割した秘密鍵をそれぞれ所有することで、ユーザー自身が単一障害点となりうる秘密鍵を持たなくても良い仕組みとなっています。また仮にユーザーが分割された秘密鍵部分を無くしてしまっても、Googleアカウントなどでリカバリーすることができます。

このウォレットの特性としては、ウォレット開発企業側に悪意を持った人間がいたり、技術に脆弱性があったりするとハッキングにあってしまう可能性は捨てきれません。

③AAウォレット

AA(Account Abstraction)というのは、秘密鍵を持つEOA(Externally Owned Account)ではなく、秘密鍵をもたないコントラクトアカウントをベースとしたスマートアカウントのことです。

通常トランザクションを発生させるためには秘密鍵が必要なため、EOAである必要があります。しかしAAウォレットは、コントラクトアカウントでありながらトランザクションを発生できるスマートアカウントを管理できるため、ユーザーは秘密鍵を持たなくても良いという特徴を持ち、ソーシャルリカバリーも可能です。

より正確には、複数のスマートアカウントが発生させた擬似的なトランザクションを取りまとめてトランザクションを起こす、バンドラーと呼ばれるプレイヤーがEOAで署名を行います。一方で、バンドラーの技術力などを信用しなくてはならないリスクがあります。

このように上記のどのウォレットでも第三者を信用する必要があるため、自身で秘密鍵を管理して紛失するリスクとのトレードオフとなっているのが現状です。そうはいっても使いやすさや安全面で、現実的に多くのユーザーにとってカストディアルウォレットは親しみやすいですし、MPCとAAの技術を組み合わせることで同様によりユーザーフレンドリーなウォレットが出てくることなどが予想されます。

最後に

ウォレットについて簡単に触れましたが、Gaudiyでも、ユーザーの方々が安心してweb3サービスを使えるプロダクトについて、日々深く思いを巡らせています。

web3に興味があり、日本のエンタメとweb3の力を掛け合わせて世界中のエンタメファンに喜んでもらえるサービスを展開していくことに共感していただけたら、ぜひGaudiyの一員になってほしいです。ともにweb3でグローバルを目指していければ嬉しいです。ありがとうございました。

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