Summertime ジャズスタンダード深堀り : リズムラボ

 今日ではジャズのスタンダード曲として親しまれている"Summertime " は、George Gershwin (ジョージ・ガーシュイン) がオペラ「ポーギーとベス」のために作曲したアリアでした。この曲が今日でどの様にジャズ曲として親しまれる様になったのか見ていきましょう。


 公開後にこの曲はすぐに人気が出て、多くのジャズ・スタンダードが録音されるようになりました。

 また1959年には映画化され公開されました。



 1959年の映画版では、 Loulie Jean Norman(ルーリー・ジーン・ノーマン)がこの曲を歌っています。

 この曲はAFIの「100 Years...100 Songs」調査でアメリカ映画のトップチューンとして52位にランクインしました。


歌詞で見る Summertime

Summertime
サマータイム
And the livin' is easy
とても過ごしやすい。
Fish are jumpin'
魚ははねて
And the cotton is high
コットンは高く
Oh, your daddy's rich
貴方の父親は富豪で
And your ma is good-lookin'
貴方の母は美しい。
So hush, little baby
泣き止んで、小さなあかちゃん。
Don't you cry
泣かないでね。

One of these mornings
とある朝に
You're going to rise up singing
貴方は歌いだすでしょう。
Then you'll spread your wings
貴方の才能を開花させながら
And you'll take the sky
その才能で飛べるでしょう。
But 'til that morning
しかしまだ朝で、
There's a'nothing can harm you
あなたを傷つけるものはない。
With daddy and mammy standing by
父と母が共にいるから。


ガーシュインの戦略

 ガーシュインは、この曲をフォークソングのように聴かせようとする意図に成功しました。
 これは、イ短調の中でペンタトニック・スケール(C-D-E-G-A)を多用していることと、「ブルース」を連想させるゆっくりとした和声進行によって補強されている事によります。
 これによって多くのジャズ演奏家に愛され、様々なテンポやスタイルで演奏されてきました。


最初のJazz録音

 最初のJazz録音は歌手のエラとトランペッターのルイと言われています。


ドラマーで見るSummertime


Elvin Jonesのスタジオ録音

 エルヴィンらしい跳ねるビートはこの録音でも健在。サックスのメロディとのハーモニーが気持ち良い録音です。


Art Blakeyのスタジオ録音

 軽快な4ビートにのせたアートのドラミングが堪能できる録音です。


Ed Thigpenのスタジオ録音

 ブラシの名手のエド。今回はファンキーともスゥインギーともとれる素晴らしい録音を残してくれています。


Brian Blade のスタジオ録音

 今回も小さく、スピーディなブライアンのフレーズが冴えわたります。なんと品にあふれた演奏かと感動を覚える録音です。


おわりに

 オペラの楽曲として書き上げただけでなく、多くのジャズ音楽家たちの心をつかんだガーシュイン。彼の作曲力もですが、これを企画した人は誰なのだろうと想像したくなります。
 チーム・ガーシュインの敏腕さ。素晴らしいですね。

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