小論文・面接の学習はできるだけ早く始めましょう【制作日誌 vol.8】
コタニです。
私立だけでなく、国公立の医学部でも受講生が順調に合格しています。それを横目で見つつ、コタニは次年度の準備に取り掛かっています。「予備校講師の3月なんてヒマなもんだろ」と思われるかもしれませんが、この時期に丁寧な「仕込み」ができるかどうかは、次年度講義のクオリティに直結します。意外とやることは多いんですよね。
さて、今回は「近況」ではありません。医学部・歯学部に限らず医療系全般の受験生に向けての(僭越ながら)アドバイスのようなものです。
小論文・面接学習の開始時期
毎年不思議に思っていることがあります。
それは
「なぜ、小論文や面接の学習を後回しにしてしまう受験生が多いのか?」ということです。
推薦入試や総合型選抜を受験するにもかかわらず、秋ごろから大慌てで授業を申し込む受験生の多いこと多いこと。
しかもほとんどの受験生は、「今まで小論文や面接の勉強なんてしたことないです」という。
受験で出題される科目であるにもかかわらず、後回しにしてしまう。特に推薦入試や総合型選抜であれば、面接や小論文の位置付けは一般入試よりもかなり重いものになることはわかっているはずなのに。
一般入試のみの受験であれば、冬ごろに受講する受験生も同様です。医学・医療系の各学部において、小論文や面接は、「医学・医療に将来携わる学生としてふさわしくない者を入学前にシャットアウトする」という役割を担う側面が強いように思われます。倫理面やコミュニケーション能力、そしてレポートを適切に仕上げる能力。こういった部分でふさわしくない人物はできるだけ事前にふるいおとしておきたいということでしょう。
言い換えると、失敗するとこれまで受験勉強で築き上げてきたものを一発で崩される可能性がある科目が小論文や面接であると認識したほうがいいでしょう。付け焼き刃でどうにかするような科目ではないはずです。直前期にあわてて小論文や面接の学習をスタートする、というのはお勧めできません。
これをさらに科目別に展開します。
まず、小論文からお話ししましょう。
文章能力以前の漢字や文法といった基礎的な学力にビハインドを背負っている場合、学習に時間がかかるという認識を持っておく必要があります。このビハインドを背負いながら、答案構成や文章表現の能力を鍛えるのは極めて難しい。しかも、英語・数学・理科といった教科の学習と並行しているわけです。受験直前期にそんな余裕はないはずなのですが・・・。
よほどセンスや基礎学力がある受験生であれば1ヶ月程度でなんとかなることもあります。ただ、全くの初心者が1ヶ月やそこらで達するレベルは「なんとか字数を埋められる」程度であることが一般的です。「入試本番で健闘できる」というレベルがさらに上に存在することは理解しておいた方がいいでしょう。
1日の勉強時間の半分以上を小論文の学習に使えるならなんとかなるかもしれません。また、一度で教わったことを完全に復習し、再現できる抜群のセンスがあるというならば、別です。2ヶ月ほどの授業を完全マスターして入試に臨めばいいでしょう。そういう受験生も少数ながら存在します。
ただ、答案を構成したり、文章を表現したりといった能力は、同じ勉強量であっても、短時間に詰め込むより「少しずつ、ゆっくりと」頭になじませたほうが受験で使えるようになります。むしろ、直前に無理やり詰め込むほうが非効率です。
知識中心の科目とはこの点が大きく違います。
つぎに、面接についてお話ししましょう。
この科目はフィジカルな側面を軽視できない科目です。いくら練られた内容を準備していようが、的確な発言内容を頭に思い浮かべようが、ある程度の瞬発力で、そしてはっきりした発声と滑舌で、面接官に伝わるように話すことができなければ、評価されないということは、想像できるでしょう。
もしあなたが、話し上手で、発声や滑舌がしっかりしていて、緊張していようがなんだろうがしっかりと考えたことを伝えられるならば、話は別です。話す内容だけを事前に整理しておき、直前に1〜2回実戦形式で面接の練習をすれば十分です。
しかし、そういう面接のセンスがある受験生は、コタニの経験上、「そんなに多くはないかなあ・・・」といったところです。いないわけじゃないですけどね。
さらにいうと、入試本番で話すべき内容を整理して、それなりに他者を納得させるだけの深さを伴ったものに仕上げるというのも、短時間では難しいことが多いのです。しっかり事前に考えた内容を話すというモードと、その場で臨機応変に対応して話すというモードとの間でモードチェンジしながら面接官とコミュニケーションをとっていくというのが面接の現場です。事前に考えておくべき内容について、付け焼き刃で対応するのは危険だと思います。フィジカルな会話のトレーニングと、発言内容の整理と修正。これらは時間をかけないと身につきにくい人が多いでしょう。事前に考えた内容やトレーニングしたフィジカルな部分を定着させ、熟成させるプロセスを踏むことは、面接現場での適切な対応力につながります。これは面接現場での緊張感を和らげる効果もあります。緊張しそうで不安だという人こそ、できるだけ早く準備を始めましょう。
さて、ここまで述べてきましたが、いかがですか?身につけるのに時間をかかる可能性がそれなりにある、または時間をかけてゆっくり取り組んだほうが望ましい性格を持つ科目で、準備を後回しにするのは危険です。
自分自身にどれだけセンスがあるのか、一度も勉強に手をつけていない段階でどうやって判断できるのでしょう?その判断もつかないのに、根拠なく「直前でいいよ」なんて言ってしまう。
また、「合格者の先輩が『あんなの直前でいいよ。俺は直前だけでクリアした』と言っていました」という受験生もいます。その先輩がたまたまうまく行っただけだ、もしくはただの自慢であるという可能性は考えないのでしょうか。他者の意見を吟味せずに都合よく解釈してしまう。これを読んでいるみなさんには、そんなご都合主義は排除して受験勉強を進めてほしいなあと思います。根拠をはっきりさせたスケジュールを丁寧に進めることができれば、受験勉強につきものの、あせりや不安はかなり減ります。
主要科目の勉強の合間でかまいません。少しずつ、時間をかけてゆっくりでいいですから、4月から準備を始めることをお勧めします。
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