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ド・ゴールは金本位制に戻せずに敗れ去った ゴールド120

ド・ゴール将軍は、金プール戦略をドル切り下げまでの一時しのぎに過ぎないとドルを罵倒していた。

彼の最終的な目的は合衆国を特別な地位から引きずりおろすことだった。

金の価格を70ドルに引き上げよ

ド・ゴールは、金の価格を70ドルに引き上げるように求めた。そうすれば、世界中の貨幣用金のドル価値は2倍になる。それにより、合衆国の外にある貨幣用金を最も多く保有しているフランスにとって大きな利益になるからだ。一方、合衆国はこの利益を放棄しなければならないと主張した。


赤字の埋め合わせにはドル紙幣を印刷すればよい

合衆国は国際取引での赤字を埋め合わせるのにドルを外国人に支払うだけでよかった。それに対して、他の全ての国は赤字を埋め合わせるためには他国の通貨か金で支払わなければならなかった。つまり、合衆国だけがドル紙幣を必要なだけ印刷することで赤字を埋め合わせることができていた。

このような状況に憤慨しているのはド・ゴールだけではなかった。


ド・ゴールは敗れ去った

しかし、ド・ゴールの提案はまったく支持されなかった。金価格を2倍にすることで大きな利益を得るのは、西側諸国で人気のなかった世界の二大金産出国 -南アフリカとソ連- だったからだ。

1968年5月、フランスを激しい暴動とストライキの渦が飲み込んだ。フランス人は、より高い賃金を目指して暴動、ストライキを行った。これによりフランス経済は大きな打撃を受け、資本の逃避が始まった。

そして、ド・ゴールは自らの進退を賭けた国民投票に敗れ、ドルを昔の金本位制に戻そうとしたド・ゴールの戦いは幕を閉じた。

フランスの相場はさらに大きな混乱に巻き込まれることとなった。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン


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