金自体を目的とすることは意味がない ゴールド133
金の長い物語 -歴史- のなかで最も印象的な特徴は、このドラマの主人公が金のおかげで酷い目にあうことだ。
ラスキンの船客
ドラマの主人公はラスキンの船客のような目にあった。
「海に沈んでいったとき、男は金を所有していたのだろうか、それとも金が男を所有していたのだろうか?」
彼らは金に目が眩んで、幻想を追いかけた。そして、おのれの願いを叶えたものは誰一人といなかった。
永遠の追求
金を人生の不確実な出来事にたいする損失防止装置だと信じた人びとは、永遠の追求が、金によって成就することはないという事実を理解できなかった。
そして、われわれが金の代わりに選ぶ、ドル、ユーロ、それ以外の何によっても永遠の追求が成就することはないという事実も理解出来なかった。
金自体を目的とすることは意味がない
「金」や「その代用物」自体を目的とすることには意味がない。
退蔵から富が生まれるわけがない。
「金」と「その代用物」は、美しくしたり、飾ったり、本当に欲しいものと交換したりする手段としてのみ、意味があるのだ。
それがあれば生きていけた
おそらく、この物語の最も賢明な主人公は、金と貴重な塩を黙って交換した先住民だったのだろう。
それがあれば生きていけるからである。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
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