市場が最もよく知っている ゴールド79
地金委員会は金本位制を「貨幣供給量を管理する優れたシステム」として確立するための最初の、そして最も権威ある根拠を示した。
地金委員会は正金での支払い停止によって経済の支配権がイングランド銀行の手に移ったことを指摘した後で次のように論じた。
「いかなる人物や団体も国内通貨の適正な量を商業上の必要性に合わせられないし、合わせ続けることもできない。
通貨が貴金属、あるいは貴金属と自由に交換できる紙幣だけからなっているときは、商業の自然な過程を通じて通貨の量は現実の状況に適していく。
通貨と流通の自然な体制が放棄され、それに代わって自由裁量による紙幣の発行が認められる場合、そのような自由裁量を正確に行うための規則を勧告できると考えるのは無意味である」
この1年後、リカードはこのように断定した。
「通貨を統制する責任を負わされた銀行家の決定よりも、市場の決定が優れている。
正金の輸出はいかなるときでも個人の自由裁量に任せておけば安全かもしれない」
つまり、市場が最もよく知っているということだ。
地金委員会は明確で徹底的な市場を推奨した。
イングランドの通貨体制はなるべく早く元の原則 -銀行券の保有者はいつでも正金による支払いを受けられるという原則- へ戻るべきだと。
貨幣をめぐるその後の果てしない論争を通じて、この考えは常に繰り返して論争されることとなる。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
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