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ゴールド 71 リンゴと金価格

「リンゴの動き」と「金価格の動き」を予測するのはどちらが難しいだろうか?

アイザック・ニュートンがその答えを教えてくれた。


ニュートンが万有引力の法則を発見したことは多くの人が知っているはずだ。しかし、彼が錬金術に興味を持ち、金価格の予測に需要と供給の関係を持ち込んだ最初の公僕であったことを知っている人は少ないだろう。

1696年3月、ニュートンは大蔵大臣モンタギューの誘いに応じて造幣局監事に就任した。そして、彼は世間知らずな学者から活動的な政治家、優秀な公僕へと転身を遂げていった。

※ニュートンはケンブリッジ大学の教授職中に政治家となっていた。また、モンタギューはニュートンの教え子である。


モンタギューはニュートンに気楽に仕事をしてもらうつもりだったが、ニュートンはモンタギューの期待を裏切り、やる気満々の精力的で有能な厳しい管理者となった。彼は造幣局の仕事に就くと一週間に6日、一日16時間労働をこなした。毎日かならず現場に顔を出し、貨幣改鋳の全工程を詳細に学び、生産をスピードアップさせる方法を次々と見つけ出した。その一方、経済学に精通するための勉強も怠らず、ロック、モンタギュー、ラウンズのような人々とできるだけ多くの時間を過ごした。

そして、ニュートンは造幣局長官になるためにできるだけ自分の顔を売ろうとした。造幣局のお役所的な惰性を一層しようともし、貨幣の削り取りを続ける悪党を根こそぎにすることも実行した。

そのかいもあり、1699年、彼はついに永年の念願だった造幣局長官に昇進を果たした。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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