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金は単なる飾り物になってしまったのか? ゴールド130

1960年代、主要国の中央銀行は、投機家の仕業により金価格が上昇するのを防ぐために金プールを組織した。そして、そのために必要なだけの金を売った。

1999年9月、中央銀行や公共機関は退蔵している金を売却したかった。しかし、金価格が暴落することを防ぐために退蔵している金を一斉に売却することを制限した。

金に以前の栄光を取り戻すためだとは言わなかった

主要国の中央銀行は年間の金売却量を制限することで合意した。IMFも、その合意に従うと表明した。

ヨーロッパ中央銀行総裁ウィム・ドイセンベルクは金売却量制限の目的は、中央銀行の価値を守るために、「金の価値を守ることである。この措置の目的は、金市場に確実性を与えることだ」と言い切った。その目的を、金に以前の栄光を取り戻すためだとは言わなかった。


金の消費量は増えた

1990年代、世界中で金への需要は活発となり、その消費量は2倍となっていた。消費量が2倍になった理由は金の価格が下落し、金は比較的安価だと思われていたことだった。

1990年代末、装身具の生産とエレクトロニクス産業で使われる金の量は1980年の50%、1994年の30%も多かった。装身具だけの生産量は1850年の100倍になっていた。


いまや金は単なる飾り物でしかないのだろうか?

採鉱の生産量や古い金からのスクラップの供給量の伸びは、需要の伸びよりもはるかに鈍かった。

新たな供給が減り、需要が伸びたのだから金価格は上昇するはずだった。しかし、金価格は上昇しなかったのだ。上昇しなかったばかりか、金価格は低下してしまうという驚くべき結果となっていた。


金がかつての栄光を取り戻す日は来るのか?

金価格が低下したのは、インフレに対抗する損失防止装置としての金への需要が減少したためだろうか? 金が売り続けられていたためだろうか? 

おそらく、経済に関するどんなことも単純な理由だけでは明らかにできないだろう。

いまや金は単なる商品、ダイヤモンドやプラチナと同じような美しくて象徴的な飾り物でしかないのだろうか? それともいつか、かつての栄光を取り戻す日が来るのだろうか?


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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