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ゴールド 金と人間の文明史-51 16世紀の価格革命

1500年代を通じて、ヨーロッパでは商品価格の動きと貨幣の需要に大きな変化 -16世紀の価格革命- が生まれた。

そして、価格革命、国際貿易の急速な発達などが契機となって、商売の手法は発達し、金融業務の性質は根本から変わった。

16世紀の君主は資金調達に苦慮していたが、民間における金融はかつていないレベルまで洗練されていた。


価格革命の影響は16世紀全体におよんでいる。

価格の一方的な上昇が見られたのは1470年ごろのイタリアとドイツである。ペストが流行した1394年から下がり続けていた価格が、1470年を境として再び上昇し始めた。

インフレーションは段階的にヨーロッパに蔓延した。1480年代にはイングランドとフランスが、次の10年でイベリア半島が、そして1500年代の初めには東ヨーロッパにまで波及した。


インフレの時代を生きた人なら誰しも、インフレはかならず人を不安にするものだと断言するだろう。インフレになると先行きがほとんど見えなくなるからである。

だが、16世紀のヨーロッパに生きていた人々にとって、いつまでも続くインフレの心理的な影響はまさに壊滅的だった。

この16世紀の価格革命は、最後にようやく沈静化するまで100年以上も続いた。これほどしつこいインフレはいまだに歴史のどこを探しても見つからない。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン


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