![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/24201970/rectangle_large_type_2_ed214eb8ded7459c2952d9a7c728da3f.png?width=1200)
ゴールド 金と人間の文明史-45 金、銀の新しいライバルの登場
1500年代には、かつてないほどの大量の金と銀が新世界から大西洋を渡ってスペインに運ばれた。
16世紀末までにヨーロッパに蓄えられた金銀の総量は、1492年当時の5倍近くにのぼるという記録もある。
これだけ大量の金銀をヨーロッパに輸送するにあたって組織された武装船団は平均で60隻、多いときには100隻にもなった。
16世紀末にはアメリカからスペインに輸送された物品の総価格のほとんどを金と銀が占めるようになった。
こうした黄金の山が16世紀のあいだにヨーロッパ経済に及ぼした影響を追ってみると、事態は皮肉な結果に向かって進展していることが分かる。
16世紀末になると金と銀 -金と銀は昔から強力なライバル関係にあった- のどちらにとっても深刻なライバルが登場した。
そのライバルとは為替手形 -民間の貸借における借入証書として、政府ではなく当事者が発行した一種の紙の通貨- である。
1500年代の金をめぐる狂乱は、実のところ過去を見送る祝祭のようなものだった。
誰も気づいていなかったが、未来は確実に姿を見せ始めていたのである。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?