銀が永久に主役の座にとどまれた可能性もあった ゴールド90
金本位制を発明したのは誰なのか?
ニュートン
金本位制を発明したのはニュートンだと言われる。
「リンゴが木から落ちる」のを見て万有引力を発見した、あのニュートンだ。
ニュートンはケンブリッジ大学を辞め、友人の大蔵大臣チャールズ・モンタギューの誘いに応じて造幣局幹事に就任した。その後、ニュートンは造幣局長官にまで上り詰めた。
そして、1717年にニュートンは意図せずしてイギリスを金本位制に移行させてしまった。
しかしながら、イギリスは1816年までは金銀複本位制を正式には廃止しなかった。
貨幣の中心は銀
金の持つ輝き、妖しい魅力、卓越した信頼性が生活の様々な局面で大きな力をふるっていた。
しかし、それでも19世紀半ばまで、貨幣の中心は銀だった。
つねに銀は金よりも豊富にあったのだ。
そして、地金委員会の金をめぐる論争においても、実は主要な論点は銀にあった。
実は銀が永久に主役の座にとどまれた可能性もあったが、主役の座は金へと移った。
銀の不利
銀が主役の座にとどまれなかったのは、銀は金に比べて、二つの不利な点があったからだ。
一つは、銀には金のような妖しい魅力がなかった。
金と違い、血眼になった人々が銀を手に入れようと狂騒することは決してなかった。
もう一つは、銀の体積は金の体積よりもはるかに大きいことだった。
つまり、銀の輸送にかかる費用は金に比べて大きかった。銀にとって、この単純な物理的相違は国家間を輸送されることに於いて大きな重荷になった。
しかし、国際的に金本位制が確立されたのは必然的ななりゆきではなかった。
金本位制のルールブックを書いた者は誰もいなかった。
金本位制のために、何らかの大計画が立てられたこともなかったのだ。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
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