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Clubhouseは現実に敗北したリベラルと、ここではないどこかを探す若者のマッチングアプリなのかどうか

Clubhouseなるものをダラダラとやってみた。

おもしろいところ、懐かしいところ、これからこうなるのかなというところがあったので備忘録的に書き留めます。当たっていたら後の世に自慢し、外れていたらひっそりと消す。そう、私は卑怯者。

そのおもしろさ


話している内容は「ここだけの話」とまでは言えず、その人がスピーカーになってるイベントに行けば聞けるくらいの話。オンラインサロンやってる話し手とかであればそこでも見聞きできるくらいの話。

ただし、スピーカー側もまだワクワク感があるので、オフレコを話してくれるサービス精神があったり、普段はなかなか一緒に登壇することのない人が気軽にセッションしたり、単体で人集めてお金とって講演はできないけど話がとってもおもしろい人(まだ世に出ていない人)、とかもいたりする。誰もが聞き手にも話し手にもなれる。聞き手と話し手、双方が初心者なので境界も曖昧で話し手自身もそれを面白がっている。一緒に作っていく感じ、いいね。

また、当の自分たちにとっては普通でも、他の世代や普段そのクラスタと絡めない人たちにとってはおもしろい話もたくさんある。
高校生の会話をおじさんが聞いてたり、官僚の会話を八百屋さんが聞いてたり。環境音代わりに聞いていて「へーそうなんだ」「知らなかった」と感じることも多い。
なによりまだ、アーリーアダプターが多いので前提としての信頼というか、許容がある。ここらへんはアーリーマジョリティが増える来月には変わっていると思う。

心理的安全性

招待制によりセミクローズドな感じ。チケットをもらう側からあげる側になりたいという人の心理をよくついてるなと思う。初期mixiが懐かしい。とにかく今週はあちこちで「Clubhouse始めました」という書き込みをよく見た。まるでそう言わないと時代遅れの人みたいにみんな焦っていた。その焦りはネガティブなだけじゃなくて、なにか新しい時代が始まりそうな高揚感、初めてドラクエが発売したときとか。Twitterが始まったときとか。「この興奮を誰かに伝えたい!」そういうポジティブな焦りもあったと思う。

もっと言うと、自分が初めてインターネットに触れてハマっていた頃の空気感にとても近いと言うか。まだインターネット自体がとってもお金がかかっていた時代。一定以上のリテラシーを持った人しかいないので、知的でシャレの効いたコミュニケーションが溢れていた。戦国武将になりきって会話する掲示板とかおもしろかったなぁ。中学生からサラリーマン、大学の先生までいて、間違えても誰も批判したりしない。優しく教えてくれたり暖かく見守ったり。

心理的安全性、打てば響く会話。

現実世界で敗北したリベラルの居場所としての役割を果たしているのかな。現実世界を反映してるヤフコメやTwitterで書いたらクソリプが溢れて嫌気がさしそうなピュアな話ができる場というか。
コロナ前はそういう人たちは仲間内でしばしば集まって飲み会しては、そういう会話をしてたのが、コロナでできなくなった。ZOOM飲みもいいんだけどずっと画面の前でビデオオンにしてるの辛い。他の人が喋ってる時、どんな顔してればいいの。

みんな疲れてる。オープンな世界に。

ここではないどこかへ

若者に限ってはまた別の側面があるかなと感じました。古くはTwitter、Youtube、最近だとオンラインサロン、そしてClubhouseと。「まだ何者でもない自分」が有名人とつながっていく感覚、そしてその中のごく一部の才能ある人が有名人と直接話せるようになったり、有名人になったりと、「何者でもない人」から「シンデレラ」になっていく姿に若者は熱狂し、自分もそうなりたいと願い、中毒になっていく。

でも、多くの人にとって「何者でもない自分」を抜け出す方法は「今の自分」を信じて、一歩一歩前に踏み出していくこと。しかし、それがわかる頃にはもうオジサン。
その頃には、確実に足跡を残してきた人と「ここではないどこか」を求めて同じような場所をぐるぐると廻っていた人に分かれてしまう。幸せの青い鳥は家の中にいたのに。

という感想もオジサン。
僕はオジサン。
043でオジサン。

マネタイズ

普通に考えると以下
【聞き手が払う】
・投げ銭
・単品販売(noteの有料記事)
・サブスク(オンラインサロン)
【話し手が払う】
・機能追加(フリーなら話し手は2人まで20分まで、プレミアムなら無制限)
【広告モデル】
・途中で広告が挟まる。でもこれはリアルタイムだと大変だよなぁ。話し手の任意のタイミングでボタンを押すと音声広告が流れるとか新しいけど。そして、広告の最後まで聞く確率めちゃ高そう。広告の入れ方で話し手のセンスが問われる感じがいいね。

今後の転機

・有料化
noteも最初は我先に書いていましたが。有料化が導入されてからは「記事が売れる有名人」「単にモノを書くのが好き(得意)な人」「宣伝したい人」の3パターンにだいたい落ち着きました。Clubhouseも同様の道を辿るでしょう。これはいいとか悪いとかではなく、そうなるでしょうということ。

・心境の変化
今は特別感だったり、聞いてもらえることに喜びを感じている人もそうでなくなるでしょう。たとえば、女子高生はおじさんに話聞いてもらいたいと思ってないので、クローズドな世界に戻っていくでしょう。Twitterおじさんが「Clubhouseで女子高生の会話聞きながらハアハア言ってる」みたいなカキコミして熱を冷めさせるでしょう。

・ネタの枯渇
「人は誰でも自分の人生で一冊の本を書ける」という言葉のとおり、最初はネタがあっても、普通の人は何十回もおもしろい話はできません。なんの特別な話もオチもない話もなければ、最初は新鮮に感じてる聞き手もやがて飽きる。そして、一部のおもしろい話ができる人のところに集まりますが、その人はその人でいつまでも無料でサービスはしないのでYouTube化していくのかな。

・垢BAN覚悟の特攻隊
電話番号に紐付けていることが抑止力になっていますが、それはある程度社会的地位のある人の話。捨て番号でアカウント作って何回か回してアカウント増やして。特定の人に粘着してオフレコトークを晒したり、規約規範になるような行為をしてClubhouseの心理的安全性を破壊する人が出てくるでしょう。それにより、嫌気がさして辞める人がたくさん出てくるでしょう。

過去、多くのWebサービスが特攻隊によって文化を破壊されてきました。運営側が文化を守る行動をとるのか、ユーザー数増えたところで売却というexit戦略なのか。楽しみですね。おそらく後者だと思いますが…

Clubhouseによって生まれる未来

いろいろ書きましたが。僕は今みんなが価値を感じてる「有名人たちが話しているリビングにお邪魔している感覚」や「業界の違う人の話聞くの面白い感覚」は上に書いたような理由で、そのうち冷めてくると思います。

でも、その中で以下のような未来が生まれる気もしてます
・まったく無名だったけど、めちゃトーク力のある人の発掘「Clubhouser」なんですかね。名前ダサいけど。「houser」とか?個人的にはこれは楽しみ。
・声がいい人にファンがつく。Vtuberよりさらに声に特化した。「毎晩12時におやすみって言ってくれる部屋」とかできそう。
・「クローズ」の部屋をうまく使った、雑談の配信。たまたま異業種で話が盛り上がるメンツが集まった時に、それぞれの持っているコミュニティに所属する人たちだけに公開した雑談をするとか。心理的安全性を自分たちで確保するということですね。

とかとか。ざっと思ったことを書いただけなので。一番最初に書いたように、予想が外れてたら恥かく前に速攻で消しますから、みなさんの記憶からも消してください。


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