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食器用洗剤と3ヶ月

食事つきの寮で、今の今まで食器を買わなかったのだけれども、冬休み期間中は食事が出ないと聞いて、食器と食器用洗剤を買った。買った食器を洗剤で洗っているときに、洗剤のにおいがなんか気に食わなくて、なんでなんだろうと思っていたら、歯医者で塗るフッ素コーティングのにおいだからだと思い出した。地球半周分離れているイギリスでも、歯医者の匂いを思い起こさせる五感と記憶ってすごいなとまじまじと食器用洗剤を眺めてしまった。

あーあ、なんで青りんごの匂いの洗剤なんて買ったんだろう、なんでグレープフルーツの香りにしなかったんだろうとか考えながらご飯茶碗を洗った。でも、よくよく考えれば、実家の食器用洗剤はグレープフルーツの香りだったから、グレープフルーツの香りの洗剤をロンドンで買ってたら、食器を洗うときに毎回、センチメンタルな気分になっていたかもしれない。なっていただろう。

日本をたって、早3ヶ月である。私はヒースロー空港に9月19日に到着したから、もう3ヶ月以上ロンドンで生活している。早いなと思う。でも長かったなとも思う。不確実性への耐久性がないくせに、よく不確実の権化みたいなファウンデーションコースに来たよなと思う。もしかしたら、私は不確実性への耐久性があったのかもしれない。それか、もしかしたらこの数年間で備わった能力なのかもしれない。来年の6月に日本に帰るまでの間に、大学の学士課程への合否が出るし、ファウンデーションコースを卒業するために何個も何個もテストを受けなくてはならない。落ちたら私にとってすべてがパアである。私は、学部課程に進学するためにファウンデーションコースに進学したのだ。学部課程に進学できなかったら、言い換えれば成績がとれなかったら、私の中での留学は無意味なものとなってしまう。不安である。こんな足元ぐらぐら、不安でぷるぷるの生活に私は慣れたい。

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