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三十路前にして韓流にハマった話

冬のソナタから始まった韓流ブーム。
波はあれど、決して消えることなく非常に息の長いブームだと思う。
冬ソナが日本に入ってきたとき、夢中になっていたのはおばさまたちだった。
うちの母も例に漏れず、第一次韓流ブームから乗り続けている古参ファンだ。
おばさまたちのものだった韓流はK-POPが流行り始めて若者も触れるようになり、今や日本の若者文化の象徴となっているように思う。

私は、というと。
母がテレビで韓国ドラマを見ていたので、たまに一緒に見ていたけど、これといって興味を示すこともなく、だからと言ってK-POPを聴くわけでもない。
あんなに流行った東方神起も少女時代もただ目の前を通り過ぎるだけだった。
つまり、韓国になんの縁もない生活を送っていた。

推しというものは突然現れるものだ。
友達に勧められて見始めた韓国ドラマ「トッケビ」の主役、コン・ユにあっという間に心を掴まれた。
コンユのことは実は以前から知っていて、「新感染」という韓国のゾンビ映画で見たりしていたし、うちの母もコンユが好きだった。
その時から「顔がいい」と思っていたけど、思うだけで終わっていた。
今思えば、なんてもったいないことをしたんだろう。
しかし、総じて推しとの出会いは「もっと早く知りたかった」の連続だと思うし、早くに知っていても好きになっていたとは限らない。
推しとの出会いは「その時」がベストなタイミングなんだと思う。

トッケビの話数を重ねていくうちにどんどんコンユに心惹かれていく自分が怖くなった。
「このままじゃまずい」
そう思って、同じく勧められていたBTSに走った。

本当に申し訳ないけど、BTSをちゃんと知る前は
「何がそんなに世界的に人気なんだろう?」ってめっちゃ思ってた。
友達に送ってもらったおすすめ動画を一つずつ見てるとめちゃくちゃダンス上手いし、歌もリズミカルで耳に残るし、顔も良かった。
世界一ハンサムな顔に選ばれた人が二人もいるなんてすごすぎない?
そりゃ世界的に人気出るわって感じ。
中でも好きなのはソクジンって子。
BTSでは最年長だけど、みんなにいじられてる優しい長男。
EAT JINの可愛さは世界を救うよ。

ソクジンかわいいかわいいしてたけど、やっぱりコンユが気になって、寝る前にちょっとだけのつもりで画像を検索してしまったのが沼の入り口だった。

コンユは身長が184cmもあって足が長くて顔も小さい。
まさにモデル体型だから、そこに立っているだけで絵になっちゃう
ナチュラルボーン絵画な人。
出てくる画像全部がきれいでかっこよくて美しくて、私の貧相な語彙力はあっという間にはじけ飛んだ。
その上、ちょっと前に流行った”彼氏と〇〇なうに使っていいよ”に使えそうな画像がたんまりある。
韓国でも彼氏感のある写真は需要があるんだね。
私はその画像たちを決して人に見せられない顔で全部保存した。

「しんどい」という気持ちをこんなに正直に思ったのは初めてかもしれない。
今までならダブルピース状態で沼に浮いていたけど、今はその元気すらない、水死体状態で浮いてる。
だから本当にしんどい。息できない。好き。サランヘ。

外国人レスラーがバックステージコメントで何言ってるかわからなくてもそこまで悔しくなかったけど、
コンユの言葉がわからないことがこんなに悔しくて悲しいとは思わなかった。
完璧にわからなくとも、だいたいでいいから何言ってるかわかるようになりたい。
そう思い立ち、私はいま人生で初めて自主的に外国語を勉強している。

推しは役にしかたたない。
よく言われることだし、私も良く言う。
今まで外国に一切の興味がなかった三十路前の女に他言語を学ばせようとするんだから、やはり推しは役にしかたたない。