見出し画像

影の中の鬼

1⃣
僕の足元には
鬼が居て

影の中から
手を伸ばし
僕の片足を握っているんだ

力の加減の分からぬ鬼は
僕の足に
爪を食い込ませてくる

僕は鬼に

痛いんだけど

と、鬼を睨む

鬼は鬼で

何時まで影に私を閉じ込める?

と、嘲笑う

2⃣
僕の足に付いた
鬼の爪跡から
血が出て行く

足元の影に
染み込む程に流れるんだ

鬼が僕の足を掴む訳も
知ってるよ

僕が口噤む様な事があると
足を掴んでくる

嘲笑った鬼の様子に
鬼は正直で困る と…

僕は可笑しくなって笑った

3⃣
僕はクリームたっぷりの
ロールケーキを用意し
鬼の顔に投げつけ

ケーキを食べようよ と誘う

僕の感情の奥底の甘さを
味覚から
引き出せると思えないけれど

試す価値はあるだろ? と

僕は鬼に言う

僕が甘くなるか?
鬼が甘くなるか?

分からないけれど
食べたケーキは激甘だ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?