マガジンのカバー画像

あるイラストからの創作詩

144
Twitterで絵を創作題にして書いた詩です 📌Twitterリンク先を貼ってあります
運営しているクリエイター

記事一覧

空を漂う

薄皮を大きく広げ 身体に空気を含み彷徨う 私の手足が 風に流れる様に 長く伸び クルクルと 彼方此方に渦巻く 此の手足に 吸い付くのは砂ばかり 空を彷徨い 墨を吐けば 視えずにいた景色が 露わになる

収集物

私は 歪な種や 不揃いな欠片を集めていく 歪な種は土に植え 不揃いな欠片は 似た欠片を側に置く 歪な種が育つ刻は 奇異なる物か 異形なる物が 現れる前兆か 不揃いな欠片が 1つになる刻は 何か物かが集まる前兆か 視えぬ物達が 静かに蠢く刻を 私は密かに覗き視る

ブリキ製の世界

酷く汚染された 此の世界 生身の身体は 壊死して 溶け腐敗してまうんだ 生きていく為の ブリキ製の身体 ガチガチ ガチャガチャ 此の 金属音が日常の音 ブリキ製の世界が 此処に有る

毒蟲

針に覆われた毒蟲に 人の味を 覚えさせる 私の血で 蟲達に教えるのだ 蟲達は 血の味しか 知らなくても 飢えた時には 人の血肉を喰らうだろうか? 人を喰い尽くし 蟲達は 増えていくだろうか…

花畑

不気味な星が 顔を出す 煙る景色の中 異形の物が 我が物顔で歩いているんだ 私は綺麗な 花を見つけても 花が壊れそうで 手を動かせず 触れるのを 躊躇ってしまうんだ 花の毒に 蝕まれてしまいそうで 花を恐れているんだ

領域や限度を決めると 根が這う事ができず 咲くのは 此の1輪だけ 花が有る事を 誤魔化す様に 水の無い花瓶に 刺さっている 作り物の花は香りもしない 刻や状況で 変化して魅せ 表情を変える華々 手を掛ければ 美しさを保ち続ける

本の頁を捲り 知らぬ世界の話に飛び込む ある時は海辺に ある時は森の奥に ある時は雑踏の中に… 紛れ込む 感覚に触れる

雪辱人形

屍の肉を一部を抜き 腕と手の骨は 骨組みに使い 人形を作る 屍は覚えているはず 此の痛みを 与えてきた者を 屍は忘れないはず 此の苦しみを 教えた者を 朽ちる事ない 人形の姿で 復讐に行くんだ

指針

指針を持たない僕は 全て自分で創るんだ 無いからって 諦めたくない 地図だって 自分で書き記して行くんだ 存在しない道具や機械ぐらい 造って見せる 欲しい物も 手に入れる方法を 自分なりに模索して 前に行く 僕は探索者 僕は冒険家だから

革のクマの縫いぐるみ

子供の頃 山で出会った 不思議な子と遊んで 縫いぐるみの お腹に 欲しい物を書いて 石を詰めたんだ 大人になったら 縫いぐるみが現れて 連れて帰ったら 手に入るよって 此の縫いぐるみを 無事に連れて帰ってねって 人ではない あの子が笑って言ってたんだ 無事にねって…

禁断の書

重厚な本 紋章に血を垂らすと 吸い込まれる様に 血が消えた 本の頁の隙間から 子蜘蛛が沢山 出て来て 僕の身体の隅々まで 検分するかの様に 覆い尽くして来たんだ 身体の一部分が 焼ける様に熱い 気が付けば蜘蛛は居ない 焼けた痛みを感じた所は 本と同じ 紋章が 身体に付いていた

セピア色の中で

濁った雨雲が 今にも雨を降らせる様な 気がして 雨雲を見て 傘を広げて 雨が降らないかと 誘ってみる 大きな水溜りの ヌメる様な土の感触に 足を そっと ゆっくりと 踏み入れる 雨が降れば 足に寄せて来る 水の波紋の中 其の時を セピア色の淋しげな景色の中 雨雲を見て待つ

侵蝕

君の視線を奪い 僕が書いた物語を 読んで聞かせ 僕の思考の世界に 浸らせるんだ 君に触れるのは僕だけ 君が動けない事で 君の皮膚感覚が 時が経つ毎に 鋭さを増している 肌への温度刺激に 過敏になってて 僕の中の狂気が疼くんだ そんな 君の背中に 僕の掌を 押し当てるんだ

戦意

燻ぶる世界に居て 霞む景色を歩む 戦闘服を着て 前に進むんだ 例え非力であっても 戦う気持ちは 誰よりも 充分に或るんだ 犬死になんかしない 耳を澄ませ 前を見据え 空きを狙え 爪痕を残し 生き抜くんだ