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とっておきの1枚で、いつもの食事をちょっとリッチに
はじめまして。ミライ研の坂本と申します。
社内副業的な位置づけで、今年の2月からミライ研の活動に参加しています。
世界に誇れる日本の魅力を発見し、広く届けたい
地域循環型ミライ研究所は、そんな想いを持つ人の仲間になりたい。
この理念のもと、本日は私の心をつかんで離さない
「和食器(特に陶磁器)」についてまとめてみました。最後までぜひ、ご覧ください。
食器とは?
皆さんは食器、といえば何を思い浮かべるでしょうか。
何事もまずは定義を確認、ということでchatGPTに食器の定義を聞いてみました。
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私:食器の定義を教えて
chatGPT:食器は、食事を食べる際に使用される器具や容器のことを指します。具体的には、食べ物や飲み物を盛り付けたり、収納したりするための容器や器具全般を指します。食器には様々な種類があり、プレート、ボウル、カップ、グラス、フォーク、ナイフ、スプーンなどが含まれます。これらの食器は、食事をより快適に楽しむための道具として日常生活で広く使用されています。
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だそうです。今回のジャーナルでは、フォークやナイフといったカトラリーは一旦置いておき、食べ物を盛り付ける意味での「食器」について考えてみました。
きっかけは木村文乃さん。
私が今回のテーマである「和食器」の沼に引き込まれたきっかけは、2017-18年ころにとあるテレビ番組をぼうっと眺めていたときのことでした。
芸能界きっての料理好きとして知られている女優の木村文乃さんが、自らがこだわる「器と食」をテーマに、都内の名店で器と食のペアリングを楽しむ、というコーナーでした。こだわり抜かれた食器に乗った小料理の数々はどれも美味しそう、、なだけではなく、際立った美しさを感じ、画面に夢中になりました。
当時の私は、自炊はそこそこ、料理へのこだわり特になし、とりあえずお腹が満たされればOK、というレベルでした。この番組を見ていた夕食時も、調理したチャーハンをフライパンのまま食卓に置き、そのまま食しておりました。行儀が悪いですね。。
木村文乃さんの丁寧な暮らしとは程遠い生活スタイルの私でしたが、これを機に和食器の魅力に憑りつかれ、"とっておきの1枚"を探す日々が始まりました。
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器の魅力
「食器にこだわる大人は素敵かもしれない!」
という軽薄な好奇心で和食器に飛びついた私が考える和食器の魅力。それは、、
同じように見えるお皿でも、一枚一枚の表情が違う
ということだと考えています。
ご存じの通り、日本には数多くの陶磁器の種類があります。有名どころだと、佐賀県の有田焼、愛知県の瀬戸焼、岐阜県の美濃焼、などでしょうか。それぞれの様式で、それぞれの作家が追い求めた素材・製法・絵付けがなされており、似たお皿はあっても同じ皿は一枚もありません。
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食器のルーツは縄文土器
魅力ばかり書き連ねても「ジャーナル」として成り立たない気がするので、もう少し広義の「器」について、歴史を振り返ってみます。
日本で器の文化が始まったのは、約1万3000年前の縄文時代のことです。
狩猟生活を送っていた当時の日本人は
■食料の調達
・動物の狩猟
・木の実の採取
■加工
・鋭利な石を使って食材を食べやすい大きさに切る
・固い石を使って食材をすりつぶす
■調理
・器に食材を入れ、火にかける
このようなプロセスで食料を加工し栄養を摂っていたと考えられています。
器がなくても平らな石をフライパンのように扱い、食材を火にかけることはできますが、 深さがある器を使えば、煮炊きや、調理した料理の保存ができるようになりました。
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(引用元:函館市文化・スポーツ振興財団HP)
そもそもですがこの縄文時代、という名称は、三内丸山遺跡で発掘された土器に、縄の模様がついていることを発見したエドワード・シルベスター・モース氏が「cord marked pottery」と名付けたことから広く呼称されるようになったと考えられています。どうして縄の模様をつけたのか、については明確な理由が判明していないようですが、一説によるとそれは、表現のため、と言われています。国には国旗が、学校には制服が、チームにはユニフォームがあるように、当時は地域ごとの文化・コミュニティの帰属意識・コミュニティ同士の関係性など、生活を表現する方法のひとつが、土器の模様だったのかもしれませんね。
時代とともに多様化した日本の食器
狩猟による生活から、農耕による生活に変化したことをきっかけに、調理方法・保存方法の多様化が進み、それぞれの用途に合った器の製法が生まれたと考えられています。
縄文土器の次は、より強度が高く、薄い弥生土器が広く使われるようになりました。「覆い焼き」という技術が生まれ、土器全体に熱を均一に伝えることで、耐久性が高く、様々な用途に使うことが可能になりました。
平安時代には、仏教の影響で磁器や青磁が生産され、日本の器の歴史はさらに発展しました。江戸時代には、茶道の普及とともに茶陶が重要な位置を占め、多くの窯が生まれました。明治時代以降は西洋の陶磁器が日本にも伝わり、各地で特色のある食器が生産されるようになりました。
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(引用元:2022/4/18 毎日新聞オンライン)
現代における焼き物の課題
縄文時代から絶えず続いている日本の陶磁器産業ですが、多くの伝統工芸品と同じように、近年は生産・需要どちらの面からも苦境に立たされています。
まずは生産者側の課題として、伝統的な技術や技術の継承の問題が挙げられます。若者の間での伝統工芸への関心の低下や、高齢化による職人の減少が進行しており、作り手が減少しています。経済産業省や一部の自治体では、伝統工芸産業の後継者育成や販路拡大のための補助金を整備し、事業者支援を充実させていますが、陶磁器産業全体の衰退基調を覆すには至っていません。
海外からの輸入品や安価な製品の普及も、市場が縮小する要因となっています。例えば新生活で必要な食器をそろえるとき、じっくりデザインや用途を考えながら選ぶ人はごく少数派です。100円ショップをはじめとする量販店には、食洗器OK,電子レンジOK,壊れたら買い直せばいい、そのような価格帯のお皿が大量に販売されています。
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(引用元:株式会社大創産業 ネットストア)
お皿ではなく鍋で勝負したさなえ窯
お皿としての焼き物は、前述した通り需要と供給両面で苦しい局面を迎えていますが、そんな状況でも創意工夫をこらし、生き残りを図っている事業者がいます。
岐阜県土岐市にある「さなえ窯」が開発した「セラ・キュート」という鍋は、美濃焼の特性を生かしたオールセラミックの鍋で、密閉性、圧力効果、そして遠赤外線効果を持ち合わせています。美濃焼の特性により、食材の水分や旨みを逃さず、調理した食材をより美味しく仕上げることが可能です。
さなえ窯では元々、美濃焼のお皿や酒器を生産・販売していましたが、安価な輸入品に価格で対応することができず苦難を強いられていました。
タジン鍋のブームがヒントに
転機となったのは2010年ころに大流行した、タジン鍋です。独特の形状と、美味しい蒸し料理を簡単に作ることができる、という手軽さが話題になったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
さなえ窯もこのブームを見逃さず、タジン鍋の製造を行っていました。しかしこのブームの中でも、安価な輸入品に対しての競争が強いられてしまい、売上は徐々に減少してしまいます。
価格で対抗するのではなくより付加価値の高い商品を、という一心で、美濃焼の特徴「密閉性」を活かした試作品の開発に明け暮れます。臭いのつきやすさ・コーティングのはがれやすさなどの課題をひとつひとつクリアしていき、2年の歳月をかけてようやくセラキュートが完成しました。
このセラキュートは、発売から約10年が経った現在もなんと現在3か月待ちの大人気商品に成長し、縮小している日本の陶磁器産業を照らす成功例として、各地の職人に勇気を与えています。
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週に一回の「とっておき」のススメ
ここまで和食器の歴史や、新たな取り組みに挑戦する事業者をご紹介してきました。
最後まで読んでくれた皆様に、ひとつだけ提案です。
あなたの手にビビっとくる1枚を、探してみてほしいのです。
皆さんのお住まいの地域にあるお皿屋さんを覗いてみるもよし、
ちょっと足を伸ばして、陶器市を巡ってみるのもよし、
インターネットで探すもよし、です。
そして、そのとっておきの器に盛りつけた料理をじっくり味わう、そんな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。毎日というのはきっと疲れてしまいますから、まずは週に一食から、こだわりの器を楽しむひと時を過ごしてみてください。
いつもの料理・いつもの食事が華やぐこと、間違いなしです。
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最後に
最後までお読み頂きありがとうございました。
書きたいことがたくさんあっても、一本の記事にまとめるのは本当に心が折れますね。。
さてさて、今回私が取り上げた、日本のお皿の魅力は皆様に伝わったでしょうか。あまり自信はありませんが、少しでも多くの方に興味を持っていただき、この奥ゆかしい日本の陶磁器の文化が、これからも長く続いていくことを願っています。
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