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僕の大好きだった人~マモル君の涙~

この話は【僕の大好きだった人】第8話になります!
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僕の大好きだった人~マモル君の涙~

【うちの事務所から音源出してみないか?】

小さなインディーズ事務所と契約をした。

ライブ、スタジオ、作曲、レコーディング、アルバイト、
目まぐるしく過ぎていく日々。

レコーディングに徹夜で向かって
全く声が出なくて、歌えなくてすごく怒られて

なんで俺が怒られなあかんねん!
無茶苦茶なスケジュール組んでるの、そっちやんけ!と逆切れしてた。

活動を続けてるうちに

「星屑君が曲書いてるんやっけ?なんか人気あるとか聞くよー」
とあまり良くない噂を聞く、A先輩が声をかけてきた。

「あ、お疲れ様です!はい…俺が書いてます…」

A先輩「忙しい?あんまり眠れて無いみたいやけど大丈夫?」

「全然大丈夫です…」

A先輩「これ飲んだら良い曲かけるし、
寝れなくても全然大丈夫になるよ!あと痩せてかっこよくなれる!」

パッケージに入った錠剤を2粒くれた。

それが何かなんて、馬鹿な僕でもわかってた。

けどちょっと疲れてて、若さゆえに興味もあって
受け取ってしまった。

A先輩「もし、また必要ならいつでも言ってね!」

帰りながらマモル君に電話して

「そういえばA先輩からなんか錠剤貰った」

マモル君「え?それ何?もう飲んだ?」

「わかんないけど、寝れるらしい、あと痩せれるらしい
まだ飲んでない!」
 
マモル君「星屑君今どこ?」

「事務所で打ち合わせ終わって、今から家帰るとこ」

電車に乗って家についたら
バイクに乗ったマモル君が来てた。

「どうしたの!?」と驚く僕に

マモル君「一旦部屋入ろう…」

「うん…」

部屋に入ってすぐに

マモル君「星屑君さっき言ってたやつまだある?」

「ん?これ?」

僕の手から咄嗟にそれを奪って
マンション8階から家の外の川に向かって投げた。

「え?マモル君なんで?!」

マモル君「星屑君!!!!これ飲んだら全部終わるよ!?!?」

聞いた事の無い、大きい声やった。

「え?なんで捨てたん!捨てなくてもいいやん!!」

マモル君「頼むから!!!しんどいのもわかるし、
星屑君が全部やってくれてるのもわかってるけど、
頼むから!これだけはあかん!全部終わっちゃうんやって!
星屑君はそれでいいの?俺は絶対嫌や!」

泣きながら言うマモル君を見て
僕も涙が止まらなくなって

2人で信じられないぐらい泣いた。

少しだけ時間がたって落ち着いたぐらいに

マモル君「車の免許取れたからさ、ちょっと2人で旅行行ってみない?」

「うん…」

マモル君「多分ここ数か月、遊びにも行ってないし、
俺ら色々ありすぎたやん?」

「うん…」

この少し前に「他に好きな人が出来た」「忙しすぎて会えないから…」
とYちゃんと僕も、Mちゃんとマモル君も別れてた。

マモル君「ちょっと旅行でもして一回色々整理しよ」

「わかった…ごめん…」

一泊二日でどっか行こう。
どこに行くとか決めずに、2人で車乗ってから決めよう。

一旦その日まで頑張ろうって約束をしてマモル君は家に帰った。

マモル君が居なくなった部屋は
やけに静かに感じて
さっき開けた窓がまだ開いたまんまで
風でカーテンが揺れるのをぼーっと見てた。

次回僕の大好きだった人~初めての2人旅~

お楽しみに!

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