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居る日記:6、7日目(北林)

豊岡演劇祭2023でのレジデンスの記録です。
後日投稿になってしまいましたが、記録のために書きました。
まとめてどうぞ。


6日目

朝、江原の町を少し歩いた。
古い民家も多いけど、空き家だらけではなく、人の暮らしがちゃんとそこにある感じがする。

ぐるぐる歩き回り、コンビニや業務スーパーなどもあることを知った。
ここに住める感じがしてきた。


家から飛び出てる何か


そこら中の隙間から植物は生える


豊岡のいたるところにある、石仏を祀った小さな祠


川の土手を歩いていた。
このままではどこまでも歩いて行けてしまいそうだった。暑すぎなければ。
この日は猛暑で、立っているのも大変だった。
目の前に神社が現れたので、お参りをしそこから昨日石を並べた日置橋の方へと引き返すことにした。

どこまでも歩いて行けそうな土手


川の上をたくさんの鳥が飛んで行った。
カモのような群れ。サギ。とんび。小鳥たち。
川に沿って、みんな上流へと飛んでいく。
夕方になると、海の方面へ帰っていく感じがする。
川は、まるで鳥の道路のようだと思った。

サギ、いつも通り立っている


橋の近くまで戻ってくると、向こう岸に鹿の親子を見つけた。
何かを食べていた。親鹿は足を怪我しているようで、ひょこひょこ不自然な走り方をしていた。
親が駆け、その後ろを小さな鹿が追いかけ、2匹はずっと隣にいた。
いつのまにか藪の中に隠れて見えなくなった。


向こう岸に居た、鹿の親子


日置橋の下へ来た。
石に絵を描いた。



絵が石に溶けていてほしかった。

自分の絵のことを考える。
絵が、自由になってどこか遠くへ飛んでいってほしいという謎の願いが自分の中にずっとある。
四角い枠を抜け出して、姿形や色を変えながら、だんだんこの世界に溶けて馴染んで消えていってほしい。
うまく説明ができないけれど、ずっとそう思っている。



7日目

再び円山川へ来た。
今日は日置橋を渡った。橋の上から、たぬきかネコかキツネのような小さな動物が川岸で虫を追いかけているのが見えた。

雨林さんと悠加さんが教えてくれた細い山の斜面の道を進んだ。「1人であの道行く時は危ないので連絡ください!」と言ってくれていたので、お二人に「行きます!」のLINEをした。その後返信がなければ川に落ちたと思ってください。


これかなと思って進んだら神社だった


正解の道
この上を渡っていくと道らしきものがあった


川の対岸へ行きたかった。
昨日鹿の親子を見た対岸へ。
鹿や他の動物に自分の存在をアピールするために「居るよー!!!」と時折叫びながらガサガサ音を立て、歌を歌いながら進んだ。
こういう時に歌う曲は、となりのトトロのテーマ「さんぽ」。


道を抜けた先


無事に渡り終えた。
昨日、鹿が消えた薮には、大きな穴が空いていた。
一体どこへ繋がっているんだろう。


所々に色々な動物の足跡があった。
道の出口から川岸までは斜面になっていって、道なき道を行かなければならなかったが、彼らの足跡を辿ると安全に降りることができた。
対岸は砂地となっていた。

鹿の足跡を辿って、石が転がる岸の方へと歩いて行った。

斜面を下る、足跡が並ぶ

よく自然の中へ行くと、人が草を掻き分けた跡や土を踏みしめた痕跡を辿って道を進むことはあるが、動物の足跡を辿って進んだのは初めてだった。

しばらく進んでみたが、途中で小雨が降ってきたので急いで引き返した。さっきまであんなに晴れていたのに、本当に天気が変わりやすい。


日置橋の下へ戻って、雨宿りをした。
川辺に座って水面の視点に近づくと、暗い川の水が雨で跳ねて反射する様子が、光る星に見えた。天の川みたいだった。


きらきらしていた


人間はこういう自然の姿のことを、美しいと思って模様にしたり、言葉にしたりしてきたのだろうなと思った。大昔の人間も、何かを美しいと思う心を持っていたと思うと、人間に生まれてよかったなという気がしてくる。


雨上がり、日没の頃


雨が止んだ後、少し絵を描いた。
川の絵を5mの布に描いた。
途中再び雨が降ってきて、川に模様をつけてくれた。
地面が石だらけでボコボコしていたので、それらに沿って絵の中の川は蛇行した。





つづく







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