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サイバーパンク2077 ストーリー解説・考察 「ヴードゥー・ボーイズのブリジットの目標・計画とは? 」

※ 注 : サイバーパンク2077 ストーリーのネタバレを含みます。

読んでいただく前の注意点

この解説・考察はサイバーパンク2077のストーリー全体が把握できるものではありません。

ヴードゥー・ボーイズやブラックウォールについてフォーカスして書かせていただきました。

この考察に登場する人物、組織のロゴ、モノのスクリーンショット

ママン・ブリジット(ヴードゥー・ボーイズ)
プラシド(ヴードゥー・ボーイズ)
レイシィ・バートモス(死体)
ネットウォッチ(ロゴ)
ブライス・モズリー(ネットウォッチのエージェント)
ブラックウォール
ICE(侵入対抗電子機器)
オルト・カニンガム(人間)
オルト・カニンガム(AI)
ハイチ人のジャン
コンストラクトが格納されているチップ
インプラント(眼球の例)

はじめに

サイバーパンク2077のストーリーでは、主人公Vは自らの死をなんとか回避して生き延びるために奔走する事になります。

しかし、なぜ、Vは死に向かう事になってしまったのか?

それはヴードゥー・ボーイズというネットランナー集団のリーダーであるママン・ブリジットが、自分達の存続をかけた計画を立てる事から全ては始まります。

過去にワールドワイドネットで起きた事

サイバーパンク2077の世界では、一度、ワールドワイドネットが、レイシィ・バートモスという伝説的なネットランナーによって破壊されています。

そのワールドワイドネットが破壊された事によって、企業達が開発したAI達(戦闘用AIも含む)が解き放たれ、不良AI(人類に敵対するAI)へと変質し、人間社会にとって極めて危険な脅威になっていました。

ワールドワイドネットが破壊されたと言っても、不安定ながらも僅かながら不良AI達に侵入されていないネット領域がありました。

その残されたネット領域を、不良AI達の侵入から守るために、ネットウォッチがブラックウォールを構築しました。

ネットウォッチは、中立的な立場でネット全体を管理する国際機関で、通称ネット警察とも呼ばれています。

ブラックウォールは、その人類に残されたネット領域を守る超巨大な防壁です(超巨大なファイアウォールの様なもの)。

ちなみにブラックウォールはAIです。ブラックウォールAIが不良AI達による人類のネット領域への侵入を防いでいます。

人類に残されたネット領域は、一部ではあるが守られたと一般的には認識される事になります。

サイバーパンク2077の世界では絶大なるパワーを持っている企業達もネットウォッチを賞賛しました。

ネットウォッチがブラックウォールを構築した後、ブラックウォールの外側には、壁の内側へ突破して侵入しようとする不良AI達が溢れていました。

ブラックウォールが構築されるまでの過去の経緯はここまでです。

ブラックウォールの現在の状況

企業達はブラックウォールがあれば、企業達のサブネット(社内ネットワークの様なもの)はICE(アイス)で守っていれば安全であると考えています。

ICE(アイス)は Intrusion Countermeasures Electronics(対侵入電子機器)の略で、企業の雇われランナー等の優秀なネットランナーが使用している高度なネットセキュリティツールになります(ファイアウォールの様なもの)。ちなみに人間が自らを守るための個人用ICEも存在しています。

もしブラックウォールの外側にいる不良AI達が壁を突破して内側に侵入して来た場合、企業達はICEで守る事が出来るのかについては懐疑的です。

しかし、企業達はブラックウォールを対不良AI防壁として信頼しています。

実際のところ、ブラックウォールは、企業達が考えているほど堅牢ではなく、いつ不良AI達に突破されても不思議ではないとても脆弱なものでした。それは、ブラックウォールを構築したネットウォッチ自身が認識しています。ネットウォッチのエージェントであるブライス・モズリーは、ブラックウォールについて「割れた窓にゴミ袋を貼り付けて塞いでいる様なもの」とVに言っています。

ちなみに、ブラックウォールは、外側からの不良AI達からの攻撃に日々晒されていますが、内側から壁の外側へ突破しようとするネットランナー(人間)達もいます。なぜならブラックウォールの外側には、ネット崩壊以前の先端技術(ロストテクノロジー)が多数存在又は生息しているからです。

よって、ブラックウォールは、外側からも内側からも突破されるかもしれない脅威に晒されており、ネットウォッチのみが日々守り続けています。

ブラックウォールに関しましては、別途、ブラックウォールに特化した記事を書かせていただいておりますので、ご興味のある方は下記のリンクから別記事へジャンプしていただけると嬉しく思います。

ヴードゥー・ボーイズのブリジットの目標

ネットランナーのギャング集団であるヴードゥー・ボーイズのリーダーであり、パシフィカのハイチ人コミュニティを仕切っているママン・ブリジットは、ブラックウォールの脆弱さを認識していました。

ブリジットは、近い将来にブラックウォールが崩壊し、外側の不良AI達が壁の内側へ侵入し、人間に残されたネット領域も破壊されて、人間社会が崩壊する日は近いと考えています。そして、企業達はその危機意識が欠如していると言っています。

ヴードゥー・ボーイズは、ネットウォッチも侵入不可能な独自のネット領域を持っています(ヴードゥー・ボーイズのサブネット)。ちなみにヴードゥー・ボーイズは、自分達のそのサブネットの事を「レゾ・アグウェ」と呼んでいます。

ブリジットは来るべきネットの崩壊。つまり不良AI達がブラックウォールを突破して内側へ侵入し、人類が再び危機に直面する事態に備えるべきだと考えています。

「ヴードゥー・ボーイズのメンバー達及びパシフィカのハイチ人達をネットの崩壊 = 人間社会の崩壊から守る事」こそがブリジットの目標です。

サイバーパンク2077のストーリー。つまり主人公Vの運命は、このブリジットの目標が根源となっています。

ネットの崩壊 = 人間社会の崩壊

なぜ、ネットの崩壊が人間社会の崩壊に繋がるのか?

サイバーパンク2077の世界では、ほとんど全ての「人(ひと)」と「物(もの)がネットに繋がっています。

「人(ひと)」で言えば、サイバーパンク2077の世界では、濃淡はありますが、ほとんどの人が体内に人工物(インプラント)を埋め込んでいます。インプラントを埋め込んでいない人達は超少数派です。

インプラントの種類にもよりますが、脳、神経、眼球、循環器、骨格等に至るまで、様々なインプラントが存在しています。

そのインプラントの種類によってはネットと繋がっています。

もし、ネットが崩壊したらインプラントを埋め込んだ人間の身体が正常に機能しなくなる可能性があります。

更に身体が正常に機能しなくなるどころか、ブラックウォールの外側から不良AIが侵入してきた場合、人間の肉体そのものを不良AIに乗っ取られたり、マルウェアによって瞬時に死に至る可能性もあります。

「物(もの)」で言えば、人間社会を支えている通信、電気、水道、食料、燃料、交通網、NCDP等の治安維持、トマウマチーム等の救命救急、病院、薬品、通貨システム等、そしてそれらを支えているインフラも全てネットに繋がれています。

それによって、人間が生きるために必要なネットに繋がっている「物(もの)」は全てストップします。

なので、サイバーパンク2077の世界では、ネットの崩壊 = 人間社会の崩壊に繋がります。

ブリジットの目標を達成するための計画

ブリジットは「我々が生き残るためにブラックウォールの向こう側へ行く」とVに説明しています。ブラックウォールを越えて、その後、壁の内側に戻って来た者は誰もいないと噂されています(実際は存在する)。ネットランナー集団のヴードゥー・ボーイズにとっても、壁を越えた先の向こう側は極めて危険で未知の領域です。

なので、ブラックウォールを越えた先で生き残るためには、ブラックウォールの外側の世界を熟知しているトップクラスのAIの協力者が必要であるとブリジットは考えました。

そこで白羽の矢が立ったのが、ナイトシティ随一のネットランナーであるオルト・カニンガムです。

オルトは元々は人間のネットランナーでしたが、今ではブラックウォールの外側にいるAIとなっています。

ちなみにオルトはブラックウォールの外側へ行った事で、人間の部分が薄れてきており、既に不良AIに近い状態に変質してしまっています。

ブリジットはそのオルトに接触し取引をして、オルトの協力を取り付ける狙いがありました。

しかし、有能なネットランナーであるブリジットですらも超えた事が無いブラックウォールの外側にいるオルトと接触するには、何らかのコンタクト方法が必要です。ブリジットは、オルトへ接触するための手段を何も持っていないからです。

ブリジットは、生前のオルトが愛人関係にあった故ジョニー・シルヴァーハンドのコンストラクト / 記憶痕跡(人間の人格や記憶をデータ化したもの)が保存されているチップが存在している事。そして、そのチップが保管されている場所を知る事になります。

ブリジットは、そのチップに入っているジョニーの記憶痕跡の一部を使ってオルトに接触しようとしました。

具体的に言えば、ジョニーのコンストラクトの中に残っている「オルトとジョニーが共に過ごした記憶のデータ(記憶痕跡)」を餌にして、オルトをブラックウォールの内側へ誘い出す事にしました。オルトと接触し取引をする(協力を仰ぐ)ためです。

オルトにわずかでも人間の部分が残っていれば、その記憶痕跡に反応して、ブラックウォールの内側へオルトを誘い出す事が出来ると考えたわけです。

その計画を実行するために、ブリジットはチップ強奪計画を進める事になります。

「生き残る」ためになぜブラックウォールを超えるのか?

ブリジットはヴードゥー・ボーイズやハイチ人達を存続させるために、壁をの向こう側で具体的に何をしたかったのでしょうか?

最初に結論を書いてしまいますと、それについてはブリジットから何も明言されていません。

Vはブリジットに何故オルトを必要としているのか?について聞いています。ブリジットはVに「オルトの力を借り、ブラックウォールの向こう側へ行く。変革の時が来ても、我々が生き残るために。」と答えます。ちなみにブリジットが言った「変革の時」というのは「ブラックウォールの崩壊 = ネットの崩壊 = 人間社会の崩壊」の事です。

この発言が意味する事は何か?

不良AI達が壁の内側へ流れ込んでくる前に、ヴードゥー・ボーイズやハイチ人達の安全を確保するための交渉を不良AI達としたかったのか?

壁の向こう側にある、ワールドワイドネット崩壊以前の先端技術(ロストテクノロジー)が欲しかったのか?

それとも、肉体を捨ててオルト(AI)の様にデジタルゴーストになって、壁の向こう側で生きる事にしたのか?

その後のヴードゥー・ボーイズ

パシフィカのジェットコースター乗り場にいるハイチ人のジャンに話しかけると、その後のヴードゥー・ボーイズがどうなったか?についての話を聞く事が出来ます。

ジャン曰く、ブリジット達はブラックウォールの外側にいるAI(会話ではオルトとは断言していない)と取引をして、ブラックウォールを越える事に成功したとの事です。

そして、彼らはヴードゥー・ボーイズのメンバーだけではなく、ハイチ人コミュニティの希望者達もブラックウォールの外側へ連れて行ったとの事です。

ジャンによると、ブラックウォールの外側へ行った人達は、皆、姿を消したまま戻って来ていないとの事です。

ジャン曰く、ジャンの従兄弟であるロヴェリーについては「子供を残して行っているので、戻ってこられるならとっくに戻って来ているはずだ。」とジャンは言っています。

ジャンの従兄弟は、自身の肉体に戻ってくる事を前提にブラックウォールを越えている事が想像出来ます。

ちなみにジャンはAIに対してかなり懐疑的な発言をしています。少なくともジャンはブラックウォールを越えたいとは思っていない様です。

更にジャンは「ヴードゥー・ボーイズがいなくなって以来、昔の神が戻ってきている。」とも言っています。ヴードゥー・ボーイズはいなくなった...。

ブラックウォールの外側はブリジット達が望んでいた新天地だったのか?もしくは監獄や墓場だったのか?

そもそもブリジットはブラックウォールの外側で、具体的に何をして生き残る計画だったのか?壁を越えた人間が誰も壁の内側へ戻って来ていないので、ブリジットの目標が達成されたのか否かについてはわからないままです。

サイバーパンク2077では、ブラックウォールや、その壁を越えた先の向こう側の世界については、意図的に明言していないのだろうと思っています。

明言されていない事によって、プレイヤーがあれこれと想像を膨らませたり、ネット上で活発に意見交換される事が、サイバーパンク2077の大きな魅力のひとつであると思っています。

解説・考察は以上になります。


このテキストは、あくまでも一個人の解説・考察である事をご了承いただければ幸いです。

ご意見・ご感想、異論反論(歓迎)はX(旧Twitter)のコメント欄までいただけると大変嬉しく思います。

長文を最後まで読んで下った方、誠にありがとうございました。

・この解説・考察を書いた人: IRUKA ROCKETS
・X ユーザー ID : @IrukaRockets


おまけ(ヴードゥー・ボーイズのグラフィティ)

パシフィカで見つけたヴードゥー・ボーイズのグラフィティの一部を貼っておきます。

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