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サイバーパンク2077 ストーリー解説 「ブラックウォールとは? 」

※ 注 : サイバーパンク2077 ストーリーのネタバレを含みます。

読んでいただく前の注意点

この解説はサイバーパンク2077のストーリー全体が把握できるものではありません。サイバーパンク2077のストーリーに登場するブラックウォールについてフォーカスして書かせていただきました。

ネットに関する用語の整理

サイバーパンク2077の世界では、DataKrash(データクラッシュ)以前のネットは「ワールドワイドネット」もしくは「ファーストネット」と呼ばれています。

DataKrash以後は、ブラックウォールの内側はシンプルに「ネット」と呼ばれ、外側は「オールド・ネット」と呼ばれています。

これらの用語の意味を理解されていなくても、記事を読み進める上で支障はありません。

ブラックウォールとは?(要約)

サイバーパンク2077の世界におけるブラックウォールとは、人類に残されたネット領域を、人類に敵対している不良AI達の侵入から守るための、仮想的で超巨大な防壁の事です(超巨大なファイアーウォールの様なもの)。

DataKrash(データクラッシュ)以前のネットはどんなものだった?

サイバーパンク2077の世界における2020年代初頭以前のワールドワイドネットは、現代(2024年)のインターネットの様に、世界中が繋がっている広大なネットワークでした。

厳密には現代(2024年)のインターネットよりも進化した機能を持ち合わせている様ですが、一旦は現代のインターネットの様なものと考えて問題無い様です。

しかし、レイシィ・バートモスという天才ネットランナーによって、そのワールドワイドネットに壊滅的な破壊がもたらされます。その壊滅的な破壊はDataKrash(データクラッシュ)と呼ばれています。

バートモスはなぜワールドワイドネットを破壊したのか?

DataKrashの後に発見されたバートモスが書いた手紙によると、バートモスは当時のワールドワイドネットの企業支配に対して反抗しようとしていた事がわかります。

バートモスはワールドワイドネットは人類が知識を得たり、分断された人類を密接に繋げたりするための手段であり、人類を救うための希望になるはずだったと書いています。

更にバートモスは、その希望とは裏腹に、ネットが企業主導のものとなってしまっていて、人類のプライバシーは奪われ、自由意志は取り上げられ、人としての尊厳も損なわれたと書いています。

そして、手紙の最後には、ワールドワイドネットが粉々に破壊される事を示唆しています。

レイシィ・バートモス(死体)

DataKrashによるワールドワイドネットの破壊

バートモスは企業のデータ要塞(企業のデータが強固に守られて保管されている場所)を標的にしていて、目的はそこから盗み出したデータをワールドワイドネットに放つ事でした。

バートモスは生前、自らの死が訪れた時のために密かに準備をしていました。そして、バートモスの肉体が活動を停止したと同時に、バートモスが準備していたプログラム(デーモン、ヘルハウンド、R.A.B.I.D.S等)が企業のデータ要塞を破壊し、政治家や企業の犯罪行為等の暴露等、あらゆる機密情報を白日の下に晒しました。

そして、それを引き金として、企業が開発したAI(人工知能)も影響を受けて変異し、人類に敵対する極めて危険な不良AIが多数誕生してしまいます。ちなみに、不良AIには元々は企業達が開発した戦闘用AIも含まれていました。

ネットウォッチによるワールドワイドネット再建への試み

ネットウォッチは、企業から資金提供を受けていて、中立的な立場でネット全体を管理する国際機関です。通称ネット警察とも呼ばれています。主な業務は、ネット全域の巡回、データ要塞の安全確保、ネットランナーによる違法行為の発見・逮捕、不良AIの捕獲、公衆のための安全なネット空間を拡張するための活動、ブラックウォールの保全を主な業務としています。

DataKrash後の数年間、ネットウォッチは欧州委員会の協力を得て、粉々に砕け散ったワールドワイドネットの再建を試みますが、ワールドワイドネットの大部分は既に汚染され、データをサルベージ(復旧)しようと試みたネットランナー達も不良AI達に狩られ続けたため、結局ネットウォッチはワールドワイドネットの再建を諦める事になります。

ネットウォッチ(ロゴ)

ネットウォッチによるブラックウォールの構築

2040年代、ワールドワイドネットの再建を断念したネットウォッチは、不安定ながらも僅かながら不良AI達に侵入されていないネット領域を守るために、ブラックウォール計画を推進してブラックウォールを構築しました。

人類に残されたネット領域を人類に敵対している不良AI達の侵入から守るための、仮想的で超巨大な防壁です(超巨大なファイアーウォールの様なもの)。

もしブラックウォールが崩壊した場合、不良AI達が壁の外側から内側へ流れ込んできて人間社会は崩壊します。

ちなみにブラックウォールはAIです。ブラックウォールAIが不良AI達による人類のネット領域への侵入を防いでいます。つまり“AI 対 AI”という構図になります。

ブラックウォールの外側に隔絶されたワールドワイドネットはオールド・ネットと呼ばれる様になりました。

ブラックウォール

ネットウォッチによる不良AIとの取引疑惑

それなりの作業規模があるブラックウォールの構築をネットウォッチが実現出来たのは、ネットウォッチが不良AIに譲歩したからだとの陰謀論もあります。

不良AIはブラックウォールが構築される事によって、ネットの大部分を占拠出来るメリットがあったので、不良AI側もブラックウォールの完成を望んでいたとの話もあります。

ネットウォッチのブラックウォール計画における不良AIとの取引疑惑が浮上してから、ネットウォッチはいくらか信用を落としました。

2077年時点のネットの状況

2077年時点では、現代(2024年)のインターネットの様な、世界中が繋がっている広大なグローバルネットは存在していません。国、州、都市レベルの限定された地域内のみを結ぶ小規模なネットが分断された状態で存在しているだけです。

しかし、ネットウォッチは欧州のネットワークの大部分を復旧させました。2077年の現在はロザリンド・マイヤーズ新合衆国大統領からの要請を受けて、北米のネットワークを修復中です。つまり、分断されている小規模なネットワーク同士を繋げて徐々に拡張しようとしています。

そして、2077年の現在のネットは、DataKrash以前の様に自由なネットではなく、常にネットウォッチに監視されるネットになりました。もしネットウォッチが定めたネットを利用する上でのルールを破った場合、直ちにネットウォッチに検知されて逮捕されるか、場合によってはシナプスを焼かれます。

2077年時点のブラックウォールの現状

壁の外側(オールド・ネット側)に生息している不良AI達は、日々、ブラックウォールを突破して壁の内側への侵入を試みています。突破を試みる主な理由は、人間社会を不良AI達の都合の良い世界に作り変えるためです。そのためにはマルウェアで人間を一瞬で殺害したり、人間の脳を乗っ取ったりもします。

そしてまた、壁の内側から外側への突破を試みるネットランナー(人間)達もいます。壁の外側に存在しているワールドワイドネット崩壊以前の先端技術(ロストテクノロジー)が存在しているために、それを手に入れようとする組織や個人のネットランナー達が後を経ちません。

表向上、ブラックウォールは壁の内側からも外側からも突破は不可能とされています。しかし、ブラックウォールは、皆が考えているほど堅牢ではなく、いつ不良AI達に突破されても不思議では無いとても脆弱なものでした。

それは、ブラックウォールを構築したネットウォッチ自身が認識しています。ネットウォッチのエージェントであるブライス・モズリーは、ブラックウォールについて「割れた窓にゴミ袋を貼り付けて塞いでいる様なもの」と主人公のVに言っています。

ここから先はブラックウォールを既に突破している、もしくは突破しようとした人物や組織について触れていきます。

ブライス・モズリー(ネットウォッチのエージェント)

ヴードゥー・ボーイズによるブラックウォールの突破

本編のストーリーに登場するママン・ブリジットは、ネットランナーのギャング集団であるヴードゥー・ボーイズのリーダーであり、パシフィカのハイチ人コミュニティを仕切っている人物です。ブリジットは自分達の存続をかけて、ブラックウォールを突破する計画を立てて実行します。

そして、ブラックウォールの外側に生息しているAIの協力によって壁を越える事に成功しますが、その後、壁の内側へ誰1人と戻ってくる事が出来なくなっています。

ヴードゥー・ボーイズによるブラックウォールの突破に関しては個別に記事を書かせていただいておりますので、ご興味のある方は下記のリンクから別記事へジャンプしていただけると嬉しく思います。

オルト・カニンガム(AI)によるブラックウォールの突破

本編のストーリーに登場するオルト・カニンガム(AI)は、普段はブラックウォールの外側に生息していますが、壁を突破して内側へ侵入する事も出来ます。つまり、ブラックウォールの内側と外側を自由に行き来出来る能力を持っています。但し、壁の内側へ侵入した際にはネットウォッチに直ぐに検知されるので、壁の内側に長時間留まる事は出来ません。

人間でもAIでもブラックウォールの内側と外側を自由に行き来する事は不可能だと言われているので、オルト(AI)は特に優れた能力を持つAIという事になります。

オルト・カニンガム(AI)

ソングバードによるブラックウォールの突破

オルト・カニンガム(AI)だけではなく、DLC「仮初の自由」に登場するソングバードもブラックウォールの内側と外側を自由に行き来出来る能力を持っています。

サイバーパンク2077の登場人物では“人間”でブラックウォールの内側と外側を自由に行き来出来る能力を持っているのはソングバードだけです。

ソングバードは、ブラックウォールの内側と外側を自由に行き来するだけではなく、ブラックウォールの力使ってVとリンク(人間同士を互いに接続する通信の様なもの)したり、敵対する人間を殺害したり、物を制御・破壊する等、ブラックウォールを自身のツールとして意のままに操っています。

しかし、ソングバードはその代償としてブラックウォールに身体が蝕まれていて、前例の無い特殊な治療をしなければ死に至る状態にまで悪化してしまいました。

ソングバード

ミリテクのサイノシュア・プロジェクト

巨大軍事企業であるミリテクが過去に推進していたサイノシュア・プロジェクトの詳細が、DLC「仮初の自由」で描かれています。

サイノシュア・プロジェクトはパシフィカ地区の地下深くにあるミリテクの極秘研究施設であるサイノシュアで推進されていました。

ミリテクはブラックウォールとコミュニケーションが取れる様に研究し、ブラックウォールを介して不良AIをおびき出して捕獲、回収、そして手懐けて、後には不良AIを兵器利用する事まで計画していました。

しかし、このサイノシュア・プロジェクトはミリテク自身によって終了し、既に施設も閉鎖されています。

このサイノシュア・プロジェクトのケースでは、ミリテクとコミュニケーションを取る様になったブラックウォールが、不良AIを通過させるために自ら壁に穴を開ける計画だったのか否かについては明言されていません。ミリテクはブラックウォールとコミュニケーションが取れる様になる寸前のところで計画を中断しています。

ミリテクの極秘研究施設サイノシュアのコア

崩壊しなかったブラックウォール

サイバーパンク2077のストーリーでは、ブラックウォールを超えた人間やAIは存在するものの、最後まで壁そのものが崩壊する事はありませんでした。しかし、2077年時点で、いつ崩壊してもおかしくない危うい状況にある事は確かです。

サイバーパンク2077の次回作「Project Orion」(プロジェクト・オリオン)にブラックウォールやネットウォッチは登場するのか?人類と不良AIとの攻防はどうなっているのか?気になるところですが、明らかになるのは数年先になりそうです。

解説は以上になります。


このテキストは、あくまでも一個人の解説である事をご了承いただければ幸いです。

ご意見・ご感想、異論反論(歓迎)はX(旧Twitter)のコメント欄までいただけると大変嬉しく思います。

長文を最後まで読んで下った方、誠にありがとうございました。

・この解説を書いた人: IRUKA ROCKETS
・X ユーザー ID : @IrukaRockets

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