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みんなが行くほうに行かない

8歳娘を連れていった京都水族館で。

娘はチンアナゴの餌やりタイムを見ていた。スタッフの女性がざっと説明して、チンアナゴの水槽にホワイトシュリンプ(オキアミみたいな小型甲殻類)を投入する。水槽を囲むように集まった数十人の親子連れが、チンアナゴのエサを食べる様子を眺める。スタッフの方は一通り説明すると、隣のニシキアナゴの水槽に移って、説明とエサやりを続ける(チンアナゴは点々でニシキアナゴは縞々)。一同、ニシキアナゴの水槽に移動する。

しかし娘はチンアナゴの水槽を離れない。

ほとんどひとりで、水槽にはりついて、水流に掻き回される残ったエサをチンアナゴたちが食べる様子を眺め続ける。二匹が対話するように/喧嘩するようにつつきあったり、二匹が絡まったり、一匹が砂中深く埋もれたりする様子を見る。そのとき一匹が盛大にウンチを放出し(チンアナゴは頭からみっつ目の水玉が肛門で、エサによく似た形状のフンをする)、娘は目を見開く。


いいぞ、と思った。


別に父は「そっちの水槽混んでるし、こっちに居といたら」とか言わないし、まして「みんな向こう行くからあなたも行ったら」とかは言わない。娘は自分で居心地の良い立ち居振る舞いを選択する。混雑がきらいなのは親譲りw。何かを「捨てる」こと——たとえば定番のイルカショーを見ずに済ますとか——にもためらいがない。

そのあと行ったABC-MARTでも、「他の人とかぶらないやつがいい」と言って、王道NewBalance/大正義ASICSを尻目に、刺繡のワンポイントがチャーミングなCONVERSEのを見つけてくる。


ひとと違うことに不安を感じない、ということは、教えようと思って教えられることでもないと思う。もちろん、単純に、気質がそうなのかもしれない。けれど親としてはいちおう、同調圧力に屈しなくてすみそうな環境を積極的に選び、ユニークであることを肯定し続ける子育てをしてきた。

学校ではこれからどんどん、自我と向き合い、そのなかでも協調性を発揮しまくらないと乗り越えられないプロジェクトをたくさん体験していく。いいバランス感覚を培ってほしいな。


※メイン画像は娘画伯によるエチュード。

▼京都水族館。Webサイト、リニューアルしてかなり機能的になってました。施設系UXのある種のお手本例。


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