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考える楽しさを思い出してもらおうとしたアクションゲーム『Wanted: Dead』ゲームレビュー


Wanted:Dead(ウォンテッドデッド)
それは、アクションとシューターが融合したゲーム。

Wanted:Dead(ウォンテッドデッド)
それは、万能なアクションが存在しない世界。

【1】はじめに

Wanted:Deadは難しいゲームです。
しかし、アクションゲームが下手でもシューターが下手でもクリアできます

なぜでしょうか?
それは Wanted:Dead が常に考えて選択し続けるゲームだからです。
このゲームは、タイミング良くボタンを押すだけのプレイヤーにとても厳しく当たります。見てから対応するのが困難な攻撃をパリィすることを要求してくるのです。しかし、攻略法を考えることをプレイヤーが思い出したとき、Wanted:Deadはとても簡単で刺激的なゲームになります


【2】万能なアクションが存在しない世界

多くのプレイヤーやレビュアーが Wanted:Dead をプレイすることにつまずきました。彼らがこのゲームを「世界観が魅力的だがバランスの悪いゲーム」と評したのはなぜでしょうか?

彼らのプレイを見ていると答えは見えてきます。
どんな敵でもどんな場所でも、斬る・パリィ・斬る・パリィ。たまに気分でハンドガン。たまにバレットタイム(ゲージを消費して使う必殺技)。

彼らがゲーム下手なわけではありません。むしろとても上手です。
彼らのプレイスタイルは、ほかの多くのアクションゲームでは効率的です。
近年のアクションゲームは「ひとつの万能かつ強力なアクションを見つけて、それをタイミング良く発動し続ける」といったものが非常に多いです。難易度の上げかたはシンプルで、その万能アクションを行う回数がひたすら上がっていきます。たとえばダークソウルは回避がとても強力で、タイミングさえ間違わなければほぼ負けることはありません。こうしたゲームではひとつのアクションをひたすら練習をするのがとても効率的です。

しかし、その攻略法は Wanted:Dead では非効率的です。
万能かつ強力なアクションが存在しないからです。

Wanted:Dead のアクションは、長所と短所が複雑に設定されています
強い場面には強いですが弱い場面では弱いです。

たとえば、銃を持った兵士は刀で斬れば簡単に倒せます。しかし、ナイフ使いは反撃してくるのでパリィが必要です。同じく盾兵も反撃してきますが、彼らはジャストガードしにくい速さで攻撃してくるので、遠くからライフルで盾に隠れていない部分を狙撃するのが有効です。
また、敵が同じでも状況がちがえば有効な手段が変わってきます。銃をもった兵士を倒すとき、遮蔽物があちこちにある場所では安全に近づくことができますが遮蔽物がない場合は大ダメージを喰らってしまいます。こうした場合は、刀より銃のヘッドショットを狙ったほうが有効です。

憶測ですが、多くのプレイヤーがバランスが悪いと評した理由はここでしょう。何十回とひとつのアクション(パリィ)を練習しているのに、他のゲームと比べて報われないと感じるわけです。このゲームでは、あるアクション(パリィ)が有効でない場合は、他の手段(銃など)を使えば簡単にクリアできるようになっています。しかし、彼らがふだんやっている攻略法と反するので一切試されません。やることはパリィの練習だけです。

誤解されないように言っておきますが、万能かつ強力なアクションが存在するゲームは面白いです。やることが分かりやすいので、あまり脳のリソースをとられません。映像的な美しさやアクションの気持ち良さに没頭しながらプレイできます。こうしたゲームはロールプレイングゲームのキャラクター強化要素を色濃く持っていることが多いので、複雑な操作や判断を要求される場面が稀にあってもレベリングすればなんとかなります。それは成長の面白さを簡単に味わうことを可能にしています。

しかし、物事には長所と短所があります。
実のところ万能なアクションは、それひとつのために多くの面白さを生贄としています

(1)どの敵を優先して倒すのか?
(2)どのアクションを使うのか?
(3)どの場所で戦うのか?
(4)リソース(体力/弾薬)の回復手段は?

万能なアクションがあるとき、このみっつの要素はほぼ考える必要がありません。どんな敵でもどんな場所でも万能なアクションは万能です。
しかし、このみっつの要素はゲームプレイにバリエーションを持たせるためには非常に大切な要素です。これらの要素が組み合わさることで、ゲームはワンパターンではない選択をすることの面白さを得ます

Wanted:Dead は、これらの要素をうまく活かすことに成功しています。
高いゲームバランスを持ったゲームであり、完成されています。

敵の組み合わせや地形などに応じて、効果的なアクションは絶えず変化していきます。それもリアルタイムでです。どのアクションが効果的なのか、プレイヤーは常に考える必要がありますし、ゲームはプレイヤーの選択を細かく判定して報酬をくれます。考えるというひと手間を挟むことで、力押しで解決しようとしていたときは攻略不可能に思えたステージがアッサリと崩れ落ちていくでしょう。それこそが考えることの面白さなのです。


【3】最後に

Wanted:Dead の仕組みすべてを解説することは下手なプレイヤーである私には難しく、また考える楽しみを削ぐ行為であります。なのですべては書きません。レビュー内でもなるべく曖昧な言葉を選びました。
このレビューを読んでいる人は、すでに Wanted:Dead に興味があるプレイヤーでしょう。それでいて悪評を読んで迷っていると思います。あなたがどんなプレイヤーであるかによって、私がかける言葉は変わります

万能かつ強力なアクションが好きで、なおかつそれに飽きていない人
悪いことは言いません。このゲームは買うのは待ってください。飽きるまでずっと自分の好きなゲームをやり続けてください。そのほうが楽しいですし、私たちも楽しんでいるところを邪魔されずにすみます。
あなたに幸運があることを祈っています。

最近の主流アクションゲームに飽きてきていて、考えることが好きな人。
このゲームは新しい風を感じさせてくれるゲームです。攻略を考えることの楽しさを、これでもかと感じさせてくれるでしょう。ぜひ買ってください。そして挑戦してみてください
あなたに幸運があることを祈っています。


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