見出し画像

新しくなった大塚に、来てみませんか?

「『シムシティ(SimCity)』を、リアルにやってるみたいだね」

うちの会社が取り組んでいる大塚を変革するプロジェクトを、こう喩えてくれた友人がいました。

都市をデザインする人気ゲームに重ねて、自分の仕事を語るのはカッコつけすぎな気もしますが、「大塚のまちを変えたい!」と進めてきたことをある意味では言い得ているかもしれない。

でも。僕らがやろうとしていることは、首長がインフラを整えて、建物を作って、市民を先導していくシムシティ的「まちづくり」とは違う。

「大塚のまちを変革するプロジェクト」は、JR山手線・大塚で代々不動産賃貸業を営んできた山口不動産の、いまや中核にある事業です。

山口不動産は、社員7人の小さな会社。そこで、僕こと、武藤浩司は7代目となる社長をしています。

かつて花街として栄えた大塚という、山手線の停車駅にもかかわらず地味なまちに、誇りを取り戻そうと日々奮闘中です。

自分のやってきたことを文章にするのは気恥ずかしいのですが、生まれ変わった大塚を知っていただきたいので、継続して発信していきたいと思っています。

お付き合いいただけるとうれしいです。

大塚から「ironowa ba project」を展開

ここ3年の間にJR山手線大塚駅を降りた方の中には、気づいてくださった方もいるかもしれません。

北口を出て視界に入ってくるのは、ビルの外観につけられた「ba(ビーエー)」という大きな文字。

画像1

駅前ロータリーや弊社の所有する6つのビル、商業施設や様々なサービスを大塚全体で連携させて、「ironowa ba project(いろのわ・ビーエー・プロジェクト)」というものを展開しています。例えるなら、街にグラフィティーアート(落書き!?)をするように、大塚をカラフルでユニークな場所に変えていこうという取り組みです。

具体的には、星野リゾートが入るビルに「ba01」とつけてオープンした(2018年5月)ところから、ホテル、東京大塚のれん街、カフェ、住居、オフィスをはじめ、コミュニティ通貨「むすび」やイベント開催などでまちをゆるやかにつなげています。

アイコンとして掲げているba(ビーエー)とは、「being& association」の略。住む・食べる・泊まる、日常のあらゆるシーンに、魅力的な場を提供したいという想いとともに、「そこにいれば、つながりを感じる場へ」という意味を込めました。

通常ヒトの体温は36℃前後でしょうが、ここに降り立つと、どこか気持ちが高揚するようなまちにしたい。大塚で暮らす人も、働く人も、訪れる人も刺激して、まちの体温を上げていきたい。そんな想いから、「36.9℃のカラフルな日常、令和の大塚」をビジョンにしています。

大塚に来てよ!と胸を張りたかった

大塚を変革するプロジェクトの始まりは、とても個人的な想いからでした。

「自分のまちに、胸を張りたい」と。

10代以上続く母方の家業を営む土地であり、僕自身は小学5年から大学4年まで、大塚に住んでいました。家業がある街としても、多感なときを過ごした街としても、大塚には強い思い入れがあります。

ただそんな想いとは裏腹に、友人たちに自信を持って「大塚に来てよ!」とは言えなかったんです。

「どこに住んでいるの?」と聞かれて「大塚」と答えても、わかってもらえない経験を何度もしてきました。

池袋のほうだと言って、羨ましがられるのも違和感が残りました。

JR山手線の停車駅であり、通好みの名店はいくつもあるけれど、大塚の印象は薄くてなんだか寂しい。

「大塚に住んでるの? スゲェじゃん!」って言われたい…!!

そんな子どもじみた、でもだからこそ切実な感情が、僕の出発点でした。

熱烈オファーでつかみ取った、星野リゾートとの強力タッグ

大学卒業後、銀行と監査法人を経て山口不動産に入社し、30代となった僕の中に「大塚スゲェじゃんって言われたい願望」はくすぶり続けていました。

会社のルーティーンワークをこなす中、「ビッグネームの企業とタッグを組んで、地味な大塚のイメージを思いっきり覆してやりたい……!」と思いながらも、糸口が見つからず悶々とする日々。

転機が訪れたのは、2015年でした。現在「ba 01」とつけている自社ビルの新築計画が立ち上がっていました。新しくビルを建てるのに、どんな事業者に入ってもらうかーー。

時を同じくして、あの星野リゾートが都市型ホテルを始めようと場所を探している、との情報を得ました。

「これだ。だれもが知るようなブランド力のあるホテルを誘致できれば、大塚を変えられるかもしれない……!」。

第1号店をなんとしてでも大塚で始めてほしいと、施工をお願いした竹中工務店と熱烈にオファーをしました。

山口不動産は、大手デベロッパーからすれば、吹けば飛ぶような街の小さな不動産屋。日本を代表するホテルに、相手にしてもらえない可能性のほうが高かったと思います。

それが内装や賃料など厳しい交渉の末、最終的に一緒に手をつないでいくことができました。

契約が決まった時の大きな感動は、いまでもはっきり憶えています。

星野リゾートと組めたことで、「大塚を、もっと大きく変えていこう」と覚悟が決まったのは間違いありません。「ironowa ba project」の構想も、この時生まれました。

そして、この情熱は豊島区の区長にも届きました。

大塚の新ランドマーク「ironowa hiro ba」が完成

豊島区の高野之夫区長は、東京有数の繁華街である池袋と、その裾野となる目白、大塚、巣鴨、駒込とが、各々の個性を磨き、一体となって輝くまちにできたら、という素敵なビジョンを持っておられる方です。

大塚駅北口のロータリーは殺風景でとても暗く、駅前を明るくしたいという住民共通の願いがあったところ、この場所に「光のファンタジー」という大きなモニュメントが作られるという、区長肝入りの計画が立ち上がったときは、驚きました。

区長も本気で、一緒に大塚を変えようとしてくれていると。

そこで、山口不動産は、この駅前広場のネーミングライツ(命名権)を取得しました。豊島区は、支払われた命名権料を広場の維持管理に充てるという、全国的にみても極めて珍しい仕組みをつくりました。

広場の愛称は「ironowa hiro ba(いろのわ ひろば)」と決めました。「iro(色)」は多様性を、「wa(輪)」はつながりを表現。

様々な個性やバックグラウンドを持つ人々が、輪のように手を取り合って主体的に暮らせる街にしたいという想いを込めました。

たくさんの輪がつながり合うタワーのような「光のファンタジー」は、チームラボにいたクリエイターにデザインしてもらったもの。夜になるとライトアップされ、一新した北口駅前広場、都電の三角地、商店街の入口、タクシー広場までが同じ光の空間として演出されます。

2021年3月27日に予定しているオープニングセレモニー「大塚変革祭 powerd by ironowa ba project」で、やっと、みなさんにお披露目することができます。

一人ひとりが自分らしくいられて、カラフルな多様性を当たり前に認め合う。

暮らす人も、働く人も、遊びに訪れた人も、このまちに来たらなんだかテンションが上がる。こころもからだも、前向きになる。

主体的に、動きたくなる。自分の人生を、歩きたくなる。

それはどこか、小学生のころの放課後の公園にあった光景に似ています。何か面白いことをしたい人が同じ場所に集い、自然発生的に、勝手に遊びが生まれていく。

そんなまちを、つくっていきたいと思っています。

ba01(OMO東京大塚)、ba02(東京大塚のれん街)、ba03(ba apartment)、ba05(駅前ランドマークビル)と、これまでは建物を中心にハード面での整備に力を入れてきました。

本当に大事なのはこれから。このプロジェクトの要は、ハードを有機的に繋げ、大塚の人々が、より心地良い暮らしを求めて動き出す仕組みをつくることにあります。

現実のまちを変えて、まちを動かしていくのは、『シムシティ』の世界ほど簡単ではありません。

地味で泥臭い日々の連続です。でも、簡単じゃないからこそ、面白い。

大塚のまちを、カラフルに、ユニークに変えていく。

そんな未来を想像して、わくわくしています。

このnoteをきっかけに、大塚を起点としたironowa ba projectに一緒にかかわってくれる人とも、つながり合えることを期待しています。

次回に続きます。

大塚のまちをカラフルに、ユニークに

大塚が変わるプロジェクト「ironowa ba(いろのわ・ビーエー) project」とは?(▼)

編集協力/コルクラボギルド(文・平山ゆりの、編集・頼母木俊輔)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?