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散文【ダイエット中に見た変な夢】1133文字
ぼくはお正月に欲張ってたくさんの餅を頬ばり、喉に詰まらせ他界した。
気がつくと果てしなく続く行列の最後尾にいる。
ここはあの世にある死役所という場所らしい。
ぼくは係の人に案内されるまま行列に並んだ。
まずは手続きが必要らしい。
やっと順番がまわってきたかと思うと、一人ずつ黒い小さなハカリで体重を測っている。
肉体もないのに体重を測ってどうするのか? そもそも重さはあるのか?
「次の方どうぞ」と言われ、ぼくは頭の中にクエスチョンマークを浮かべながら黒いハカリに乗った。
最近はあまり見なくなったアナログ体重計だ。
ぼくが好んで使っていたタイプだ。
「エレベーターの方へ進んでください」
係の人はそう言うと、エレベーター前で待機している別の係の人に「三階層です!!」と伝えた。ぼくの行き先らしい。
行列は他にも無数あり、その先頭はこれまた無数にあるエレベーターの前まで伸びている。
エレベーターの扉が開くと三十代くらいのケバいけどそれなりに綺麗な女性が乗っていた。
すぐに彼女の役目を理解した。
昭和の時代に活躍していたエレベーターガールだ。
「扉が閉まります・・・・・・下へ参ります」
エレベーターが凄い速さで降りていくのが分かった。
「地下一階、畜生界でございます。目先の利益にとらわれすぎないようご注意下さい」
エレベーターは止まったが、扉は開くことなく再び降下し始めた。
「二階、修羅界でございます。無益な争いにご注意下さい」
外からは怒声や悲鳴が聞こえてくる。扉をドンドンと乱暴に叩く者がいる。
扉が開くと数人のガタイのいい荒くれ者が一斉に乗りこもうとしたが、エレベーターガールに蹴り飛ばされた。
扉は閉まりエレベーターは再び降下を始める。
「三階、飢鬼界でございます。食べすぎ、欲張りすぎにご注意下さい」
扉が開くとエレベーターガールは「どうぞお足下にお気をつけてお進み下さい」と言った。
ぼくが外に出ると、扉はすぐに閉まりエレベーターは上昇していく。
ぼくの目の前にニヤニヤした男の子がやってきてこう言った。
「メシはまだか? 焼肉食べたいじょ!!」
どうやら餓鬼らしい。
そしてぼくはオッサンだけど新入りの餓鬼らしい。
なぜかポケットに入っていた餅を食いしん坊の男の子に差し出すと、男の子は僕の手から勢いよく奪い、走り去っていった。
あとから知ったことだが、黒い体重計は人間の罪を測っているらしい。
罪が重ければ重いほど、欲が深ければ深いほど下の階層へ案内されるらしい。
そして今日もぼくは食糧を求めてさまよっている。
ああ・・・・・・肉が食べたい。
あの男の子は痩せていたけどたくさん食べそうな感じがした。
いくら食べても太らないタイプだろうか?
ぼくもそんな身体が欲しい。
ぼくはそこで目が覚めた。
ああーーお腹がすいた。
終
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