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SS【ゴールド層を夢見て】


この世から現金が消え、お金がすべてデジタルデータとなった近未来。

国民はそれぞれの総資産によって層分けして呼ばれ、お金を愛する者たちは皆、もっとも高い層であるゴールド層を目指した。

資産が一億を超える人たちはゴールド層。

五千万を超える人はシルバー層。

一千万を超える人はブロンズ層。

五百万を超える人はアイアン層。

それに満たない人や、その日暮らしの人たちはウッド層と呼ばれ、お金を稼ぐために一日の大半を使った。

層が上がれば利用できるサービスが増え自由時間が増える。

貧乏暇なしという言葉通り、層が下がるほど時間に追われて一日が過ぎる。少しでも安い買い物をしようとして貴重な時間を浪費したりする。

一方ゴールド層は時間をお金で買う。移動はタクシーや飛行機。家事は代行サービスやロボットを利用し自分の時間を増やす。

買った時間を使って更に自分の資産を増やす行動をする。もはや投資の利回り分だけで生活できるので、資産を減らす方が難しくなるほどだ。


SNSには鉄を金色に塗っただけの偽ゴールド層がたくさんいる。

ぼくの密かな楽しみは、他人の投稿やメッセージを読んで本当の層を予想すること。

そして今日も貴重な時間を浪費するぼく。

そんなぼくは、腰の痛いシルバー層。


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