SS【悪魔のツノ】
昔々あるところに腰痛持ちの中年男がおりました。
背骨の間にあるクッションの役目をする椎間板。それが横に飛び出しツノのように伸びています。
そのツノが神経に触り、脚や尻など、あちらこちらが痛むのです。
男はそのツノを悪魔のツノと呼んでいました。
ある日の朝、男が起きようとすると身動きがとれないほどの痛みに襲われました。
男はそれから一ヶ月、まともに仕事ができませんでした。
なんとか仕事に復帰した男は心の中で強く思いました。
「この悪魔のツノさえ無ければ、こんなに苦しまなくてすんだに違いない。悪魔のツノさえ無ければ・・・・・・。今回も薬でなんとかごまかせた。しかし、ツノがこれ以上成長すれば地獄の苦しみに陥るだろう。かといって手術なんて怖くてできない。良い方法はないだろうか?」
するとそれを聞いていた悪魔が言いました。
「俺は短くておもしろい物語が大好きなんだ。だからショートショートを毎日必ず投稿しろ。そうすればツノの成長を止めてやる。だがもし一日でもさぼったら・・・高級な天使の・・・」
悪魔と契約してから一年が過ぎ、男は久しぶりにMRIを撮るために整形外科へとやってきました。
可愛い白衣の天使に、高級な天使のコルセットを買わされそうになりながらも、痩せてから買うと言って断われました。
MRIの結果は背骨の間が少し狭くなっているものの、ツノは成長していないとのことです。
悪魔は約束を守っていました。
もちろん男は今日もショートショートを書いています。
終
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