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SS【ラーメン女】
観察力に優れたぼくは万引きGメンのバイトをしている。
万引き犯を見つけるのには慣れている。
相手の動きを先読みして自分の死角をなるべく作らない。
しかし、いまだかつて経験したことの無い強敵が現れたと店長が言った。
女は食事を作るのが面倒なのか、他店でもインスタントラーメンばかりを狙う常習犯らしい。
週に三回ほどスーパーにやってくる女は、おそらくぼくが万引きGメンだということを感づいている。
だが凄いのはそこではない。
ぼくは女が盗った物を大きなバッグに入れたのを目撃した。
しかし不思議なことにバッグの中を確認させてもらうと、盗ったと思われるラーメンはマジックのように消えている。
謝るぼくに女は「気にしないで」と言う。
「バッグ以外にも隠す場所があるのだろうか」
バッグに入れたと見せかけて違う場所に隠すとは手がこんでいる。
「しかし女は薄着で隠せそうな場所など無かったはずだが・・・・・・」
ある日ぼくは、女が再びバッグにラーメンを入れたので、バッグに何かしらの仕掛けがあると読んで調べさせてもらうことにした。
ぼくはバッグの中を見て言葉を失った。
そこにはこう書かれていた。
「ドッキリ大成功」
背後に気配を感じ振り返ると、したり顔の店長が居た。
手にはドッキリ大成功の看板を持っている。
女は店長の奥さんらしい。
ぼくはその日、バッグに詰めれるだけラーメンを万引きして仕事を辞めた。
終
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