![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72089335/rectangle_large_type_2_9fd4641b310d22daad10c039eba72de7.png?width=1200)
SS【浮遊】
夢の中で空を飛ぶ感覚に似ているだろうか。
私は広い空を自分の意思で飛ぶことができる。
鳥のように一生懸命羽ばたかなくても、まるで自身が風かのように自由に飛べる。
ただ時間制限はある。
小銭を入れたら動く子どもの乗り物のように、いずれ、時間がきたらピタッと動かなくなるだろう。
私はふと我に返った時、広いと思っていたその空が、本当はとても小さいことに気づいた。
自分がカゴの中の小さな鳥であることに気づいたのだ。
しかし、カゴを飛び出し窓から逃げ出す勇気は無い。
だから私は飛んでいるのではない。飛んでいるふりをして、ただプカプカと浮遊しているだけ。
時間はまだある。
私に持って生まれた羽がないというのなら、羽の代わりになるものを作るまでだ。
残された時間でどこまで飛べるか、私は今、小さなカゴの中で考えている。
終
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?