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140字小説【彷徨う旅人】

車を走らせていると(北へ)と書かれた画用紙を胸の前に掲げる旅人を見かけた。漠然としたその文字に誘われるようゆっくり車を止める。すると旅人の持つ画用紙が強風に煽られ裏返った。(南へ)「どちらまで行かれますか?」そう聞くと旅人は優しく微笑み姿を消した。すぐそばには花が供えられていた。

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