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私は車を乗り捨て夜のゴーストタウンへ逃げこんだ。奴らに捕まれば命はない。壁から壁へ飛び移…
その迷路には空がなかった。壁は大人二人分ほどの高さがある。死刑囚は刑執行を言い渡されたあ…
「山田君、この遅刻届は何?着替えに戻った為?」僕は理由を説明したが上司は首を傾げた。世間…
賊の眼前を一匹の黒猫が横切った。「あれ?急に景色が変わったぞ」魔女の棲む地下迷宮の最深部…
息苦しさで目覚めた。私は安さに釣られ怪しい美肌エステサロンにやってきた。裸で黒いシーツの…
嫌味な店長は将棋が得意。私たちパートのことを陰で駒と呼んでいる。悔しいから将棋で打ち負か…
「何かお探しですか?探すの手伝いますよ」親友は困っている人に手を差し伸べる思いやりのある人だ。当時初対面だった私の落とし物も、親身になり探すのを手伝ってくれた。そんな優しい親友だからこそ、探さないものもある。親友とは長い付き合いになるが、決して他人の粗探しをしない。
新婚旅行はイタリアへ行った私たち。神秘的な見た目に惹かれ衝動買いしたカーニバルの仮面。二…
妻はパズルが大好き。僕は結婚記念日に最高難度の知恵の輪を妻に贈った。知恵の輪を捻ったりず…
私は遠ざかる青い星をいつまでも眺めていた。最終戦争後の荒廃した地球。コップ一杯の水を手に…
「勝手に持ちこむなよ」家は傾きいつ倒壊するか分からない。避難生活が長引くことは容易に想像…
上司と帰りが一緒になった。「糸電話か!懐かしい」公園で糸電話を使い遊ぶ子供たちを見て上司…
帰宅すると妻の友人が来ていた。二人は会話に夢中で僕には気づかない。「どこかに収納できたら…
闘病生活を終えた僕は卒業前に自宅に戻ることができた。病院スタッフや家族、何より毎日連絡を取り合っていた親友が心の支えになった。でも体力は落ち、僕の髪は薬の副作用で抜け落ち見る影もない。学校へ行くため親友と待ち合わせをした。「やっぱ寒いな」「お前……」親友は髪をすべて剃っていた。