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140字小説

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削って削って、磨いて磨いて仕上げた140字小説です。
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#掌編

140字小説【パルクール、真夜中の逃亡者】

私は車を乗り捨て夜のゴーストタウンへ逃げこんだ。奴らに捕まれば命はない。壁から壁へ飛び移…

こし・いたお
2週間前
2

140字小説【罪人の迷路】

その迷路には空がなかった。壁は大人二人分ほどの高さがある。死刑囚は刑執行を言い渡されたあ…

こし・いたお
1か月前
4

140字小説「逃げろー!」「コラー!」

「山田君、この遅刻届は何?着替えに戻った為?」僕は理由を説明したが上司は首を傾げた。世間…

こし・いたお
3か月前
3

140字小説【魔女の呪い】

賊の眼前を一匹の黒猫が横切った。「あれ?急に景色が変わったぞ」魔女の棲む地下迷宮の最深部…

こし・いたお
3か月前
3

140字小説【おいしくなーれ】

息苦しさで目覚めた。私は安さに釣られ怪しい美肌エステサロンにやってきた。裸で黒いシーツの…

こし・いたお
3か月前
4

140字小説【将棋崩し】

嫌味な店長は将棋が得意。私たちパートのことを陰で駒と呼んでいる。悔しいから将棋で打ち負か…

こし・いたお
6か月前
2

140字小説【探さない】

「何かお探しですか?探すの手伝いますよ」親友は困っている人に手を差し伸べる思いやりのある人だ。当時初対面だった私の落とし物も、親身になり探すのを手伝ってくれた。そんな優しい親友だからこそ、探さないものもある。親友とは長い付き合いになるが、決して他人の粗探しをしない。

140字小説【○○夫婦】

新婚旅行はイタリアへ行った私たち。神秘的な見た目に惹かれ衝動買いしたカーニバルの仮面。二…

こし・いたお
6か月前
6

140字小説【知恵の輪のように】

妻はパズルが大好き。僕は結婚記念日に最高難度の知恵の輪を妻に贈った。知恵の輪を捻ったりず…

こし・いたお
6か月前
7

140字小説【私は持ってる】

私は遠ざかる青い星をいつまでも眺めていた。最終戦争後の荒廃した地球。コップ一杯の水を手に…

こし・いたお
6か月前

140字小説【仲間】

「勝手に持ちこむなよ」家は傾きいつ倒壊するか分からない。避難生活が長引くことは容易に想像…

こし・いたお
6か月前
4

140字小説【同時に喋ってはダメ】

上司と帰りが一緒になった。「糸電話か!懐かしい」公園で糸電話を使い遊ぶ子供たちを見て上司…

こし・いたお
6か月前
1

140字小説【捨てないで】

帰宅すると妻の友人が来ていた。二人は会話に夢中で僕には気づかない。「どこかに収納できたら…

こし・いたお
6か月前
4

140字小説【親友】

闘病生活を終えた僕は卒業前に自宅に戻ることができた。病院スタッフや家族、何より毎日連絡を取り合っていた親友が心の支えになった。でも体力は落ち、僕の髪は薬の副作用で抜け落ち見る影もない。学校へ行くため親友と待ち合わせをした。「やっぱ寒いな」「お前……」親友は髪をすべて剃っていた。