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また今夜も眠れない

眠れない夜はいつだってぼんやりと、それでいて失えない意識が揺蕩っている気がする。
寝ないといけない日に限って眠れないことも多く、寝なくてもいい日に限って死ぬほど眠い。そのまま眠って目が覚めなければ一番幸せだけど、悲しいかな朝陽は昇る。
二度と目が覚めないように、眠ったらそのまま死にたい。事故物件というか、自然死になってしまうから心理的瑕疵物件という扱いになってしまうだろうこの部屋は少し可哀想だが。

眠れない夜は嫌な妄想が膨らみやすい。

あの人はきっとわたしよりも好きな人がいる。
あの人はきっとわたしの悪口を言うために遊んでいるんだ。
あの人はきっとわたしの事が目障りに違いない。
あの人はきっとわたしのことなんてどうでもいい。

勝手に肥大した妄想が、現実を侵食する。
とは言え、わたしよりも好きな人がいるのは妥当というか、こんなに面倒な人間を好む人の方が少なかろうとも思う。そうやって自己評価を下げておけば、いざ裏切られたり傷付けられたとしても何一つ傷つくことはない。だってわたしは価値のない、そうやって捨てられるべくして捨てられる存在なのだから。傷付けられて当たり前、ぞんざいにされる程度で丁度いい。
捨て鉢、というものだろう。
捨て鉢でいれば楽だと知っているから。

他人に期待せず、興味を持たず。自分も他人もどうでもいいものとして勘定していれば裏切られることもがっかりすることも、他人の行動で悲しみを覚えることも無い。
所詮他人、何かしら望むことが愚か。
やってくれたらハッピー、そうでなければそんなもの。そうやって考えれば常にフラットでいられる。

それが信条。でも、そうもいかないくらいに不安感と希死念慮が大爆発することがある。
そんな時はしばらく一人でいた方がいい。
でも、誰かと繋がりたくなる。

だからきっと、こうやって文章を書くのだろうな。

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