白忘(はくぼう) 白い靄と蝋燭のあかり 煙のように舞う君に 目玉焼きをのせて もう二度と見失わないように 朝をのぞくと その先に海があった 調味料は潮だけで充分だ どこかから運ばれてきたことばは かなしい空にたどり着き 星星にぶらさがりながら 迎えを待っている そんな夜の中と そんな朝の先に わたしは自分を重ね ただ観察している
窓辺にて 真昼の太陽は花とともに燃え尽き 今、土の中に鳴りを潜めている 日中のにぎやかなさが まだ体の芯をとりまいている 私というカタチの凹凸が溶け出して ただの球体に近づくにつれて まるでどこかの惑星と相応するように 静寂を取り戻してゆく 夜空の端にしっとりと押された烙印が 星々とともに運ばれてゆく 暗がりの山の輪郭の向こう側へ それが消えゆく頃 私はようやく眠りについた
丸裸にしてそれと同じものを並べても、ごまかせないことは分かっている。秋の夜風が段々と胸の溝を深めながら、またどこかへ流れていった。 魂の根底に、ある言葉が輝く。 絡まり合う色彩は、生でも死でもない。 彼らとの距離は、何億光年という、とてつもないような単位で表現されるけれど、本当はこの身体の内側に潜んでいる。 だから僕は君を知っているのだ。 未来の中に、僕は思い出をひとつずつ置いてゆく。 星座のように、それらは互いに響き合い、 やがてこの話が終わりを迎えたら、 も
−−−−−−−−−−−−−−−− 北緯19度物語 空間a 国境に聳える山々がこちらを見ている。僕の身体の輪郭は、あの山と宇宙の果で繋がっている。23歳の肉体は図らずもこの星の生贄となって世界を逆走している。 甘く見ていたのだ。ホットケーキミックスと牛乳を混ぜることが難しい訳はない。テレビを見ながら惰性で作れる温かいふわふわパン。それが日曜日のおはようホットケーキ。魚の形をしたクッションを尻に敷き、窓の外にひろがる青に目を見張る。ぼんやりしていたら、足の親指にはちみつが
あお 空をあつめている できるだけ多く できるだけ深く 空をあつめているともだちにもらった ふくろの中に閉じ込めて 季節が変わるまで窓辺に放置する 数カ月後、ふくろに隙間ができたら 体温であたためながら形を変えてゆく 引っ越したばかりなので足りないものを いくらか成形して固まるまで昼寝をする 目を瞑る時にいつも私は眼球が丸かったことを思いだす 何かを見ているときの目はどこかの惑星のせいで 自分の形を忘れているそうだ いかにも繊細そうに生きている人は