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ノートリ率を概算する

こんにちは。
チームGlänz(グレンツ)所属のiroと申します。

前回、公開情報からトリガー期待値を求める方法を長々と書かせていただきました。
今回は、それをどう実践で用いることができるかについて書こうと思います。
お時間ある方は、お付き合いいただけると幸いです。

期待値から計算する

前回のnoteで書いた通り、盾1枚のトリガー確率は

$$
\cfrac{非公開トリガーカード}{非公開カード}
$$

で求められます。

よってこのとき期待値は、

$$

\cfrac{非公開トリガーカード×盾の枚数}{非公開カード}

$$

となります。
つまり、見えている公開情報とデッキのトリガー枚数(相手の場合は予想する)で、期待値を計算することができます。

例1
使用デッキ 墓地ソース(トリガー:クロック4、デスゲ2、バースター2)
お相手の6ターン目、ガイムソウからのガイグレン
こちらノートリならリーサル

非公開トリガー クロック3、デスゲ2
非公開カード 山札19、盾5
よってトリガー期待値は、

$$
\frac{5×5}{24}=1.04…
$$

となります。

例2
お相手デッキ シータ刃牙(20弾環境当時・予想トリガー:ドンドン吸い込むナウ4、大地4)

前回のnoteから使い回しになります。
最近のデッキで例が示ればよかったのですが、新弾環境でまだテンプレが固まっておらず、トリガー数の予想が難しいため、こちらの例で示したいと思います。

確率を考えるきっかけとなった一戦でした

このとき、吸い込むナウが3枚、大地が2枚(うち1枚は盾から)見えていましたので、
非公開トリガー 3枚(予想)
非公開カード 手札2枚+山札16枚+盾3枚で、21枚
よってトリガー期待値は、

$$
\frac{3×3}{21}=0.42…
$$

あとは求めた期待値からノートリ率を見積もります

トリガー期待値から求めたノートリ率は以下の表の通りになります。このなかから、求めた期待値に近い値を探します。

なお、この表は非公開カード40枚、盾5枚の場合でのノートリ率を計算したものになります。勿論、非公開カード(山札など)や盾の数でこの確率は変化しますが、後で述べる通りその差は数%程度ですので、概算の範囲に収まっているとみなします。
また、表を作るにあたり、トリガー枚数が整数にならない場合もありましたが、無視して計算を行っています。この点についても後述します。

🧐

例1
期待値1.04だったので、表からノートリ率は約30%程度と予想できます。
実際計算してみると、

この表の見方等は前回noteをご覧ください

ノートリ率は27.36%でした。

例2
期待値0.42だったので、表から(残りの盾の)ノートリ率は約64%程度と予想できます。
実際計算してみると、

既に1トリしているので、トリガー1枚の行が求める確率になります。
(残りの盾で)ノートリ率は61.35%でした。

この様に、期待値が分かると、まあまあな精度でノートリ率を概算することができます

しかし……


…実際には

いざ実践になってみると、いつも電卓を横に置きながらプレイできるわけではありませんし、暗算で小数第一位まで求めるのもきついです。あとそもそも先ほどの表を丸暗記するのも、大変困難です。

そこで、表のこの部分だけ抜き出し、考える目安とするのがいいのではないかと考えています。

期待値1は30%!

期待値が1に近いかどうかの判断は簡単です。

$$

\footnotesize

\cfrac{非公開トリガー×盾}{非公開カード} \fallingdotseq1

$$

となるには、

$$
\footnotesize
非公開トリガー×盾 \fallingdotseq 非公開カード

$$

となれば良いわけです。

つまり、まだ見えていないトリガーカードを数え(予想し)、盾の枚数をかけたものが、非公開カードの枚数に近いかどうかを考えれば良いということです。
このとき、ざっと3割程度ノートリとなります。

なお、0.5、1.5のときはあくまで目安とし、0.5に近づけばノートリ率は5分5分に近づき、下回るとノートリ寄りになります。反対に1を超えて1.5に近い値の時は8割近い確率でトリガーがあると考えて良いでしょう。
ちなみに0.6の時に約50%になるので、

$$
\footnotesize
非公開トリガー×盾 < 非公開カード × 0.6
$$

ならば、ノートリ率は50%より高いということになります。
もし二桁の整数(非公開カードの枚数)×0.6を瞬時に計算できる特殊能力をお持ちの方は、

「えーっと、非公開カード23枚で×0.6すると13.8か…。
見えてないトリガー3×盾4だから、ノートリの確率のほうが高いな!
よし、ジャスキルいこう!」

みたいなことができます。私はむりです😇

例3
青緑MASミラー
互いにジャバorエリートが引けず、相手のMASをお手玉しながらエビデゴラスを設置する展開

墓地のカードはどちらも2コスブースト3枚です
マナゾーン(自分)

私の非公開カードは18枚
非公開トリガーはクロック2、大地1
よって、私の盾のトリガー期待値は$${\frac{3×5}{18}}$$と悪くない値でした。
そこで…

エビデンスでドローして、突撃!

エビデンスのドローの後にライフを2回打ちましたが、いずれもトリガーカードは見えず。
非公開カードは15となり、期待値はちょうど1になりました。

返しのターン、相手はエビデゴラスを龍解させ、逆リーサルを仕掛けてきます。
相手のマナにもクロックがあるので、こちらは大地かクロックを引ければ耐えることができます。確率は7割…!

よし!

その後、エビデゴラスのドローでトンギヌスを引き、確定リーサルとなりました。

無論、盾にいくかどうかはリスクとリターンを総合的に考える必要があり、手札の状況や逆リーサルの有無など、様々な要素から判断する必要があります。
ただ、自らの盾のトリガー率、相手の盾のトリガー率が概算できれば、迷った際の判断材料にできるのではないかと考え、今回筆を取った次第です。
なお、この辺りの殴る殴らないの判断については、強者の方がnoteにて考え方を教えてくださっていますので、ぜひ検索してみてください(本当はリンクを貼りたい)。


概算にあたって

これらのことを計算する上での話です。読み飛ばしていただいて結構です。

1、ノートリ率の計算式について

本来、トリガーが$${S}$$枚の場合、ノートリ率は$${\cfrac{ _{40-S}C_5}{ _{40}C_5}}$$と組み合わせの総数を用いて求められます。
しかし、期待値からトリガー枚数$${S}$$を求める場合、以下のようにするため、$${S}$$の値が整数にならない場合があります。

$$
\frac{S}{40}×5=期待値
$$

より、

$$
S=期待値×8
$$

これをそのまま代入すると、表計算ソフトは当然エラーを示しますので、今回無理やり

$$
\cfrac{\footnotesize (40-S)(39-S)(38-S)(37-S)(36-S)}{40×39×38×37×36}
$$

として確率を計算しました。
これなら$${S}$$の値が整数でなくても、一応の値は算出できます。

…確率有識者に怒られそうですが、ノートリ率を求める式は$${S}$$についての5次関数であり、$${0 \leqq S \leqq 40}$$の範囲で滑らかに単調減少するので、四捨五入するよりは健全かなぁと思います。なにか他に良い手があれば教えてください。

2、山札など非公開カードの枚数と盾の数によるブレについて

これについては一般的に証明するより、しらみつぶしに計算したほうが早いと考え、ほぼ全ての場合を表計算ソフトで計算しました。

今回は期待値が0.5の場合と1の場合を載せます。表の縦は山札と手札などの盾以外の非公開カード、横は残っている盾の数です。
見ていただければ分かる通り、よっぽど極端でない限り、左上の数字からの誤差は数%に収まっています。

期待値0.5の場合

期待値1の場合


本題は以上です。
以下雑記となります。


あとがたり:メンタルと確率

みなさまよくお分かりの通り、このデュエマというゲームから、運要素は切っても切り離せません。
よくX(旧Twitter)でも、運の下振れを嘆く声が流れてきます。私もつい、いろいろ思ってしまうこともあります。

なかでも、特にそれが顕著なのがシールドトリガーではないでしょうか。
デュエマの醍醐味でもあり、みなさまを悩ませる要素でもあると思います。
いつ踏むか、いつ踏ませるかにより、ゲーム展開は大きく異なり、勝敗に直結することが多々あります。

ラス盾クロック😇

そしてそれは同時にプレイヤーのメンタルにも働きかけます

私はデュエプレのランクマッチにおいて、メンタルが最も大切だと考えています。
言ってしまえば毎回5トリすれば大体の試合で勝てるわけですから、勝って得られるレートという指標は、単純にこのゲームの上手さの指標であるとは言い切れません。

私的に、最終順位や最高レートによって示されるのは、メンタルの強さだと考えています。

下振れにめげずに潜り続ける強さ、勝ちを求めて試行錯誤できる強さ、そして何よりこのゲームを愛し、モチベーションを保ち続ける精神の強さの指標が、ランクマッチにおけるレートの値に現れるのではないでしょうか。

これらは私には欠ける要素です。
下振れにはイライラし、次の試合まで引きずり、簡単なプレイミスをしてしまいます。ちょっと連敗したくらいで、すぐに投げ出してしまいます。まだ上を目指す時間があるのに、諦めてしまいます。
毎シーズン高レートを達成されたり、最終一位を争っている方々の胆力には、本当に感服するばかりです。どういうメンタルしてるんだ、ほんとに😇

この豆腐のように脆いメンタルを補う手段として、私は確率に頼ることにしました。

心を保つ

例えば、相手の黒単の盾からデスゲートと魔狼月下城の2枚をトリガーされてしまったことを想像してください。

4面止まりますね…

ちょっとというか、だいぶ嫌ですよね。
強烈なハンデスと盤面制圧を掻い潜り、やっと打点作ったのに…😡😇😂
と思ってしまうでしょう。

実際の場面です。
ランクマッチにて、私は青緑MASのデッキを、お相手は黒単を使用されていました。
試合中盤、私のターンで、手札が良かったので盾を詰めに行く場面です。

ワンパンクロックからのジャバ引き
運だけの翁

ここで、相手のマナと墓地を確認したところ…

ん?
あれ?

デスゲも月下城も一枚も見えていませんでした
まだテンプレが定まっていないので一概には言えませんが、月下城4デスゲ2と予想すると、トリガー期待値は、

6枚×盾5枚÷非公開カード21枚=1.42…

だいぶ盾に埋まっていそうですよね。
実際、ゲーム開始時と比べてだいぶ確率が上がっています。
嫌な予感がしつつも、エリートジャバをプレイします。

2ndを引けました。ジャスキル! …だけど

…いや、さすがに通らないでしょ。
詳しい確率は計算していませんでしたが、あまりにもトリガー期待値が高すぎました。

びびりながら考えた末、私は逆リーサルを避けようと父なる大地でデスシラズを除去してから、盾を殴りに行くことにしました。
なお、練度が足りず、殴り方を間違えています😇

クロックで1点、2ndで2点
(なぜQEDから殴らないのか????)
やっぱりありました

プレミで相手の盾が残ってしまったため、ゲームは長引くことになります。

本題とは外れますが、QEDから殴っていればブロックされず、盾を割り切ることができていました。スレイヤーもいますし、盤面除去の得意な黒単相手ですので、残りの頭数より、割り切ることを意識すべきでした。反省します😇

そして、2ターン後、次のような盤面になります。

エリートがスカっても、1ドローで龍解してリーサル!

このとき、相手のマナにようやく月下城が1枚埋まりましたが、それ以外は見えず。
予想されるトリガー期待値は

4枚×盾2枚÷非公開カード14枚=0.57…

先ほどの表では、期待値0.5枚で57%ほどノートリでしたので、もう少し高く見積って50%ほどでもう1枚トリガーがある計算となります。

エリートから引いたフェアホでチャブを展開 突撃!
やっぱりありました

もし状況を見ず、殴りに行っていたら、

うっわ6枚中2トリとか😡

と心を乱し、この試合のみならず、きっと次の試合まで引きずって更なるミスの種となっていたでしょう😇

ただ、今回は最初に盾を殴りに行く段階で「だいぶ盾にありそうだな…2枚あってもおかしくないかも…」と予想ができていたため、平静を保ち、落ち着いて残った勝ち筋を考えることができました。

確率を考えることは、先の展開を予想するということです。つまり下振れさえも予想できていれば、心の準備ができ、理不尽もいささか受け入れやすいのではないでしょうか。

また、実際の数字も自分を納得させる種になります。
例えば、
「なんかよくわかんないけどトリガー踏んで負けた」
よりも、
「●%のトリガー踏んで負けた」
のほうが、冷静に受け止められないでしょうか?

60%なら、「まあ部の悪い勝負だしな…」と思えますし、
5%なら、「さすがに運が悪すぎるな…しょうがない」と思えるのではないでしょうか?

数字はどんなときも客観的で、冷静になるのを助けてくれます。
ぜひ味方につけて、心を乱さずプレイしたいですね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
確率計算のもろもろは拙い部分や落としている部分がある可能性があります。
あくまで目安という形で参考にしていただければ幸いです。
また、機会がありましたらなにか書きたいと思います。


おまけ

ちょうど同じチームに、最近バトルアリーナの決勝に出たよという人がいたので、ためしに聞いてみました。

いいんだ…

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